第339話華音のお屋敷で文化祭準備作業(3)

文化祭準備の中で、問題となったのはスピーチをする華音の衣装だった。

文化研究会の面々は平安貴族風の直衣姿。

しかし華音は嫌がり、いつもの学生服を主張する。


顧問の田中蘭

「せっかくの古典文学喫茶だもの、着て欲しいなあ」

長谷川直美

「絶対似合うって、可愛いかも」

花井芳香

「何色がいいかなあ、やはり高貴な紫?」

佐藤美紀

「映画会社のカタログに直衣がいろいろあるね、それから選ぼうよ」

志田真由美

「私たち、あまり見たことないからね、見たいの」


華音は、珍しく面倒そうな顔。

「着替えるのが大変、せっかく制服があるのだから、それを基本とするべき」


しかし、華音の抵抗は無駄だった。

シルビア

「白の直衣、指貫、檜扇にしようよ」

春香

「立烏帽子は黒」

と勝手に決めてしまったため。


肩を落として落胆する華音に、春香。

「うちは西陣出身、そういうのは詳しい、着付てあげる」

エレーナがその話に乗った。

「その着付けを録画しましょう」


華音は、春香とエレーナに確認する。

「ということは、春香もエレーナも学園に?」

春奈とエレーナがにっこりと頷くと、シルビアが怒った。

「こら!華音!どうして私の名前がない?」

華音は、「また・・・この人たちと・・・」と、ますます落胆となった。


お昼は関西風湯葉の玉子とじ丼と、京都風漬物、お味噌汁、午後の2時には、作業の目的を達成した。

女性たちは、汗をかいたこともあり、全員が大風呂に入り、リラックス。


田中蘭

「はぁ・・・大きくて、いいお風呂、ジャグジーが気持がいい」

長谷川直美

「ローズマリーの香りがする、お肌にもいいのかな」

花井芳香

「それにしても、シルビアさんといい、春香さんといい。エレーナさんもすごい身体している、見とれちゃう」

佐藤美紀

「胸はきれいだし、ウェストがキュッとしまって、足も・・・」

志田真由美

「エレーナさんの胸、わけて欲しいかも」

田中蘭

「湯葉丼美味しかったなあ、ヘルシーだけど、満腹感もある」

長谷川直美

「華音君は、毎日こんな美味しい料理を食べているんだね」

花井芳香

「うーん・・・となると玉の輿を狙うかなあ」

佐藤美紀

「毎日美食と温泉付き?いいねえ、それ」

志田真由美

「私も立候補するかな、楽しそう」

シルビア

「でも、華音は無粋でアホだよ、苦労するかも」

春香

「うーん・・・変なところで、超頑固、昔気質」

エレーナ

「私はもう立候補したよ、でも華音ちゃんは全く理解していない」

・・・・・・


華音は、珍しく一人で入り、のんびりしている。

「これで夜の雑魚寝がなければ、もっと楽なのに」

「あのお姉さんたちが眠りについたら、逃げ出す技術を身につけるかな」

と、そこまで考えた時だった。


今西圭子と松田明美が、華音の入る湯舟に入って来てしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る