第302話お姉さまたちは華音と藤原美里たちの会話を読む。

華音は、お姉さまたちと、雨宮瞳に「監視」されていることなど、全く頓着はない。

もう一人の高校生親善大使の藤原美里と、普通の自己紹介の後、官房長官たちと食事をしている。

あまり口数はないものの、少々の会話はあるようだ。

そのため、今西圭子と松田明美は「裏柳生の読唇術」にて懸命に言葉を読む。


今西圭子

「華音ちゃん、オマール海老のタルタルが美味しいって言ってる」

松田明美

「藤原美里さんは、神の御恵みに感謝とか」

シルビア

「マジに、オカタイ会話だ、何の色気もない」

春香

「まあ、今のところはそれで安心できる」

エレーナ

「でも、本当に海老が美味しい、また太りそう」

「華音君の作法が美しい、私・・・イマイチ・・・」

様々に、感じる部分が微妙に異なるけれど、会食は続いていく。


今西圭子

「官房長官が、定例的に顔を合わせてとか言っている」

「外務省からも招待があるみたい」

松田明美

「華音ちゃんは、ドンとしている、でも藤原美里が外務省で緊張している」

シルビア

「でも、華音のほうが高一でしょ?藤原美里がお姉さんのはず」

春香

「華音がここで変にサポートすると危険」

雨宮瞳

「うーん・・・そのやさしさは、出来れば私だけに欲しい」

エレーナ

「抜け駆けは厳禁、このスズキの蒸し煮のソースが独特、甲殻類かなあ、後で教わって帰る。華音君がモリモリ食べているし」


会話を読んでいた今西圭子の表情が変わった。

「藤原美里が、華音のお屋敷に行きたいって言っている」

シルビア

「却下、面倒のもと」

春香

「仏像とか多くあるから、キリスト教信者は問題がある」

エレーナ

「私は、そんなことを乗り越えましたから、ご心配なく」

雨宮瞳

「実に、ご都合主義だけど、藤原美里さん・・・いきなりすぎでは?」

松田明美

「うん、会ったばかりの日に、男の家に行きたいって、ありえないやろ?」

「普通は、何度も顔合わせをしてからや」


今西圭子は、華音の口元を読んで、安心顔。

「さすが華音、かわしたよ、またいずれと」

松田明美

「簡単に、女の誘いには乗らんよ、華音は」

シルビア

「単に、面倒なだけでは?」

エレーナ

「逆に私たちとの実力差を見せつけてもいいけれど」

雨宮瞳

「いずれは来るのかなあ、でも、まだ時期ではない」


今西圭子

「でも、ホッとした感じ、華音は冷静」

松田明美

「でもさ・・・藤原美里の目が、熱いよ、何やら」

シルビア

「御仏の力で、引き付けたかも」

春香

「御仏も余計なことを・・・」


料理は、メインの肉料理に移りつつある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る