第264話梶村雄大捕獲作戦(3)捕獲完了と華音の集団バイク男対策

柳生隆と華音が乗った大型バイクが梶村雄大の大型バイク右側に接近した時だった。

華音の口から、「体内で溶けるタイプの吹き矢」が、梶村雄大に向け、発射された。


「うん?」

次の瞬間、梶村雄大は、首を左右に振る。

どうやら首から耳付近に違和感を感じた様子。

そして、途端にバイクがふらつき出す。


前方には、鎌倉警察がロープと網、そして超大型のクッションを設置、待ち構えている。


それを見た華音は、松田明美にメッセージを送る。

「明美さん、ここでロープと網を使って!そしてクッションで受け止めて!」


明美の反応も早い。

「はい!わかった!華音ちゃんたちは、そこで停止!」


途端に前方の鎌倉警察から投げられたロープが梶村雄大の身体やバイクに巻き付く。

と同時に、投げ網にて梶村雄大の身体とバイクごと捕獲完了、そのまま超大型クッションに衝突、そして包まれる。



その様子を確認した井岡スタッフがバイクを止めて含み笑い。

「まあ、鎌倉警察では、華音の吹き矢の技は知らないし、体内に残るのはアルコール反応のみ」

柳生隆は、バイクを止めて、華音に一言。

「耳のツボを狙ったのか?」

華音は、素直に応える。

「肝機能を狂わせ、酒酔い症状を強くするツボ」

松田明美も梶村雄大の捕縛完了後、華音たちの前に。

「梶村雄大、捕縛されたけれど、外傷は無し」

「ただ、ひどく酒臭い、意識も混沌としている」

「内ポケットから手榴弾は回収、その他短刀、ピストル」

「バイクのボックスの中には、バーボン、ピストルの弾、LSDその他危険なものばかり」


華音は、厳しい顔。

「明美さん、それはいいんです」

「捕獲してしまった以上、いつでも調べられます」

「それより先にスマホを回収してください」

「梶村雄大だけを捕獲すれば終わりではないんです」


松田明美が、一本取られていると、鎌倉警察で集団バイク男を見張っている部署から連絡。

「彼らはしきりに、スマホを確認しているようです」

「おそらく、梶村雄大の到着を気にしている様子」

「それが予定時間を過ぎても、到着も連絡もないので、不安なようです」


柳生隆は、厳しい顔。

「集団バイク男か・・・灯油代金未払いで逮捕するか」

「暴行行為もガソリンスタンド従業員に対してあるけれど」

「何しろ50人のバイク男の捕獲だ、慎重を要する」


井岡スタッフも、松田明美も、妙案が見いだせない様子。

梶村雄大の措置を一旦終えて、華音たちのもとに来た鎌倉警察のトップも、捕縛方法に策がなく、不安な様子。


華音が静かに口を開いた。

「まずは、一定の場所に囲い込みましょう」

「そして、そこから逃げ出せない状況を作る」

「灯油に点火しても、無理なようにする」


華音を取り巻く全ての大人が首を傾げると、華音

「由比ガ浜の地下駐車場の一角を、他の車両に安全なように確保してください」

「それが出来たら、梶村雄大のスマホから、そこにバイク男を全員、誘導指示」

「灯油対策には・・・その一角のスプリンクラーからの大量放水」

「それで彼らがひるんだ時点で、一斉に警察が取り囲んで捕縛」

「駐車場出口でもOK」


柳生隆、松田明美、井岡スタッフは笑いだし、鎌倉警察のトップは早速、その旨の指示を行っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る