第254話柳生事務所ビルを見学(5)小久保スタッフのエクスタシー

「小久保さん!」

華音は、本当に驚いた。

何しろ、小久保スタッフの華音を抱きしめる力が本当に強いし、脇の下にしっかりと入っているので、簡単には外せない。


その上、小久保スタッフの声が甘い。

「ふふん、華音ちゃん、隙だらけだったからね」

「どう?この感触?」

小久保スタッフは、そのまま胸を華音の胸に押し付け、ほぼ密着。


この時点で華音は、どうしていいのかわからない。

もちろん、熊野からの師匠、茜による「くノ一対策修行」は十分に受けている。

そしてそれは、ルーマニアから来たエレーナには通用した。

ただ、それはエレーナがルーマニア人で華音の「くノ一封じの技」を知らなかったからと思う。

小久保スタッフは柳生事務所の手練れ、何より柳生育ちで華音の「くノ一封じの技」も知っているはずと思うと、華音はウカツな手を打つことは難しいのである。

「使うとしたら、秘技か奥義かな」そう思うけれど、その後の小久保スタッフの反応が予想できないのでためらう。

華音は「くノ一修行」の師匠、茜との実践修行の時に、その「秘技」の後、師匠茜が20分は動けなかったことを思い出す。


小久保スタッフの声がかすれてきた。

「うわーーー・・・いいなあ・・・この華音ちゃんの胸、さすがお薬師様やなあ」

「トロトロで、身体の芯が癒されるし、もう、トロトロや」

「小島さんのトロトロがようわかる」

「はぁ・・・ずっとこうしていたい」


華音は、その甘い声にもじっと耐える。

とにかく恥ずかしいけれど、そもそもこの場所でこんなことになることは、望ましくないと思う。

しかし、何とか抜け出さないと、このままだと埒が明かない。


その小久保スタッフの手のひらが、華音のお尻に伸びた。

「うん、華音ちゃんのお尻も興味あるんや」

「毘沙門さん、観音様の呪印やろ?」

「一度、触れたかったんや」


華音は、ますます焦る。

何しろ、小久保スタッフの指の動きが微妙。

ペタンと手のひらで触るのではなく、指がサワサワと動く。

華音は、とにかくくすぐったくて仕方がない。

そのため、華音の腹筋が揺れることになるけれど、その反動で華音の胸に小久保スタッフの胸がまた密着して揺れる。


「こうなると仕方ないな」

華音は、もはやためらっている場合ではないと決断した。

早くしないと、華音とて「反応」が始まってしまう。


「小久保さん、ごめんなさい」

「お尻、いただきます」

華音の言葉はそれだけ。


華音の指は、小久保スタッフのお尻の「とある部分」を、本当に柔らかく「トン」と突く。

すると、途端に小久保スタッフ全身の力が抜けた。


「う・・・」

「え?」

「あ・・・華音ちゃん・・・そこ?」

「はぁ・・・気持ちいい・・・」

「どうして?そこを?」


華音は、全身の力が抜けた小久保スタッフを「お姫様抱っこ」、ホールの椅子にゆっくりと横たえる。


小久保スタッフは、瞳に涙がたっぷり。

「気持ちいい・・・はぁ・・・」

「びしょびしょだよ、華音ちゃん」

「動きたくても動けない」

「華音ちゃんの指技・・・負けた」

「さすが茜さんの指導に耐えただけあるよね」

「うー・・・華音ちゃん、キスして・・・」


小久保スタッフは、その胸を上下させ、華音を涙を浮かべて見つめている。

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