第226話祖父の超レアな日記を読める華音とエレーナ

今西圭子がシルビアと春香に叱られ、痛そうな泣きそうな顔になった華音にやさしく声をかける。

「なあ、華音ちゃん、その説明じゃわからんて」

「もう少しや、お嬢様方にわかるように言わんとな」

そこまで言って、今西圭子はシルビアと春香に、フフンと含み笑い

「うちはわかったんや、それはそうや、華音ちゃんの言う通りや」


ただ、今西圭子の言ったことは、松田明美も途中からわかっていたらしい。

「圭子、そんな自慢げに言うんやない、うちは華音ちゃんの目を見てわかっておったもん」


雨宮瞳は、さっぱりわからないので、沈黙するしかない。


さて華音は、このままでは話がすすまない、またしても今西圭子と松田明美の口論バトルが発生すると理解したようで、おもむろに立花管理人を見る。

「あの、立花さん、その現物でなくて、コピーでもいいから見た方がいいね」

「この書籍の日付の近辺を中心に、文面がわかる範囲で」


立花管理人は、すでに心得ている様子。

少し華音に頭を下げて応える。

「華音様、ご心配ありません」

「先々代の日記につきましては、先々代の意向によりまして、全てPDF化してPCに取り込んであります」

「操作も簡単です、ここにあるPCにて壁の大モニターに映し出すこともできます」


華音と、今西圭子、松田明美は、立花管理人の言葉の意味をすぐに理解したけれど、シルビア、春香、エレーナ、雨宮瞳は全くわからない。


そして、再び華音のお尻を、業を煮やしたシルビアの張り手と春香の回し蹴りが襲おうとした瞬間だった。

松田明美が立花管理人に目で合図。

すると立花管理人は頷き、

「これが、先々代の残した日記の一部です」

とつぶやき、PCを操作する。


さて、その日記の一部が、壁の大モニターに映し出された瞬間だった。


シルビアは、その頭を抱えた。

春香は、口を開けてあんぐり。

雨宮瞳は、キョトン顔で華音を見るだけ。

エレーナは、両手をひらひらさせて、お手上げのポーズ。


すると華音が、フフンと文句を言ったシルビアと春香に声をかける。

それも、超自慢風である。


「シルビアも春香も気がつかなかったの?」

「お祖父さんの日記って草書というか、完全な崩し文字なの」

「それも漢字が入っていない、全てかな書きの崩し文字」

「だから言ったでしょ?日本人でも、これをスラスラよめるのは・・・数人」

「その意味で、日本人でなければ、絶対に読めない」

「僕は、何とか読める」

「あと・・・読めるのは、祖父様と親父、柳生霧冬先生ぐらい、後は時間をかければ読めるかなあ」

「僕は格闘ばかりじゃないの、これもしごかれたの」


ただ、華音の自慢話は、特にシルビアと春香は気に入らない様子。

即座に文句を言い返される。

シルビア

「うるさい!この秘密主義男!」

春香

「どうして、そんなマイナーな知識をひけらかす?超性格悪い」


再び従姉二人に迫られる華音に、エレーナがニンマリと迫る。

「ねえ、華音君、少しここの屋敷に泊まらせてもらうよ」

「何しろ、リスクは解明しないとね」

「華音君の協力がないと、それができないの」


華音は、そのニンマリと他の女性からの視線に恐怖を覚えた。

「あの・・・瞳さんを、まず家に送ります、その話は後で」

懸命に答えるけれど、シドロモドロになっている。

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