第219話 これも絶品魚卵サラダ、そして食が止まらない女子たち

エレーナが取り分けた次のオードブルは、「ルーマニア風魚卵サラダ」。

材料としては、鮭の新鮮な卵、ひまわり油、オリーブ油、レモン汁、玉ねぎ、炭酸水。

エレーナの説明が始まった。

「細かいざるに、魚卵を乗せて冷たい水の中で丁寧に洗います」

「水をよく切ってから魚卵の皮を取り、中身はボウルに」

「それから中身を湯煎して木のスプーンでかき回します」

「加熱が均質になって、ピンク色になったら湯煎から外して冷まします」

「ボウルにレモン汁を少々、油を大さじに2ずついれて乳化させます」

「それをフードプロセッサーに移してレモン汁と油を少々垂らして回転させます」

「とろみが出てきたら、炭酸水で硬さを調整」

「フードプロセッサーから出して、みじん切りにした玉ねぎを加え、塩コショウで味を調整」

「最後にオリーブ油を加えて混ぜ、冷蔵庫で冷やします」


少々長い説明であったけれど、その前のオードブルが美味しかったためか、全員が丁寧に聞いている。


エレーナがにっこり。

「それではお召し上がりに、ルーマニアではオードブルとして祝日の食卓に出します」


華音がまず食べて、笑顔。

「うわーー・・・すっごいコクがあるけれど、爽やかさもある」

シルビアは、すごい勢い。

「マジに美味しい、こんな料理初めて」

春香も食が進む。

「とにかく自然食って感じ、ルーマニア食が好きになった」

雨宮瞳も、目をパチクリしながら食べている。

「ほんと、世界は広いなあ、こんな食文化があるなんて」

長谷川直美は、エレーナにお願いがある様子。

「私、エレーナさんを料理の先生にしたい」

エレーナがにっこりとすると、文学研究会の面々も続く。

花井芳香

「学園長にお願いして、ルーマニア料理講習会とかは?」

佐藤美紀

「大賛成!でも、美味しくて食べるのが止まらない」

志田真由美

「文化祭の時のメニューに何か入れたいなあ」


エレーナは本当にうれしそうに笑いながら、次々に料理を出していく。


「チーズ入り揚げドーナツ」

「チーズ入りグリッシーニ」

「漬物のキャベツのサルマレ、漬物のキャベツを使ったロールキャベツのようなものです」

「ルーマニア料理の定番のママリガ、とうもろこしの粉に水を加え、火にかけた鍋で練って作ります」

「田舎風ポテトチップス、厚めに切ったポテトのチップスを油を使わず、そのままストーブで焼き、食べる時に塩をかけるだけ」

「チーズとレーズンのケーキ」


・・・・・とにかく、大量に様々出してくるので、説明を聞く余裕もなく、全員がムシャムシャと食べ続けるのみ。


それでも華音が感想を述べる。

「どれも、食べやすいです、家庭料理って感じで自然な味」


エレーナは、またうれしそうな顔。

「あまり複雑な調味料、化学調味料は使いません」

「素材の味を楽しむ食事です」

「今日は食べきれそうにないので、料理はここまでに」


ムシャムシャと食べていた女子たちが、ホッとした顔になった。

「マジで食べ続けそうになる味」

「今日と明日は体重計に乗れない」

「今の時点で、おなかが膨らんでいる」

「でも、残したくない」


結局食べきれず、残った料理は、エレーナのレシピを添えて、女子全員が持ち帰ることになった。

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