第192話テロリストたちの逮捕、連行。華音たちは再び祖父ゆかりの別室に
華音が根津ホテルマンに再び目で合図をすると、根津ホテルマンは手に持ったリモコンを操作、テロリストたちを囲んでいた鉄格子がスルスルと天井に消えていく。
そして、松田明美に既に連絡を受けていたのか、華音の説法の間にホテルに入ったいた多人数の警察官がテロリストたちを次々に逮捕、連行していく。
柳生隆も、ホテルに入ってきた。
根津ホテルマンに会釈、華音と松田明美には、頷く。
「みんな、お疲れ様、吉祥寺駅は全く問題なく、平常通り」
「こいつらだけは、しっかり逮捕できた」
根津ホテルマンは、深く頭を下げた。
「とにかくテロ事件を無事に防ぐことができました」
松田明美は、ホッとした顔。
「まさかの鉄格子、それに誘導する根津さんの技術」
そして、華音を見る。
「不思議な説法をしていた、あれも効果があった」
根津ホテルマンは、苦笑。
「いや、不思議というよりは、彼らの心に響く説法だったのでしょう」
「華音坊ちゃまは、説法が上手です」
「将来は、お坊さんでもいいかも」
華音は、「え?」と首を横に振る。
「うーん・・・じっとしているの嫌い」
「家の本を読むので、精一杯」
柳生隆も苦笑していると、今西圭子、シルビア、春香も入ってきた。
今西圭子は華音の顔を見る。
「連行されるテロリストたちの顔を見たけれど、全員がボロボロ泣いていた」
シルビアがフフンと笑う。
「華音の説法ね、確かに説得力はすごいものがある、だからおまかせした」
春香も、それには頷く。
「そういう真面目な話は、華音は大丈夫」
根津ホテルマンが、全員に言葉をかける。
「どうですか、あのお部屋で、御一服なされては」
誰からも、異論はなかった。
日中に、真奈を救った華音の祖父ゆかりの別室に、再び入ることになった。
華音
「一日、二度というのも、不思議な感じ」
根津ホテルマンは笑顔。
「いつでも、お使いになってください、予約を受け付ける部屋ではありませんので、華音様たちのためのお部屋にします」
シルビアもうれしそうな顔。
「なかなか便利、吉祥寺は当然で、新宿にも渋谷にも近い」
春香は、部屋を歩いて点検。
「部屋に大きなベッドもあるし、ジャグジーつきの大風呂もある」
松田明美は大きなテーブルがお気に入り。
「この広いテーブルは仕事に便利だなあ、警察の机ってスチールで狭い」
すると今西圭子が、すぐに反論。
「明美!こんな立派なテーブルとか部屋を警察の仕事で使わないでよ、マジで無粋・・・」
松田明美は、「ウッ」となって、珍しく言い返せない。
どうやら、思いつきの発言をして、今西圭子に正論でやり込められたと自覚したようだ。
そんな雰囲気は理解がない華音は、当然の言葉。
「まあ、根津のおじさん、そんなに気を使わなくてもかまいません」
「住まいが久我山で、吉祥寺のホテルに泊まるってこともないですし」
「急を要することがあれば、すぐに来られます」
「さっきも、明美さんとバイクに乗って、ものの五分でした」
今西圭子にやり込められていた松田明美は、華音の「バイク発言」で、すぐに復活した。
その顔を赤くして、華音を見る。
「華音ちゃんの腕が、マジ気持ち良かった」
「後ろから抱かれている感じでね」
松田明美は、そのままニンマリと華音にすり寄っていく。
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