第136話今西圭子の胸には美神の呪印、それぞれの反応

華音は、珍しく真正面から、今西圭子の胸を見る。

そして、信じられない名前が華音の口から飛び出した。


「ねえ、圭子さん・・・この呪文というか呪印は・・・」

「・・・もしかして、アフロディーテ?」


華音の口から出た「アフロディーテ」という言葉を聞いて、今西圭子はにっこりとする。

「うん、最近、それが濃くなってきたの」


華音は、「へえ・・・」と、面白そうな顔。

少なくとも、若い女性の裸の胸を見て、恥ずかしそうな顔ではない。

「アフロディーテは、ギリシア神話に登場する美の女神様」

「アフロディーテは愛と性を司る女神様」

「ほんと・・・きれいな呪文だなあ・・・」


今西圭子は、その華音の反応が面白い。

そして、つい、からかいたくなった。

「華音ちゃん、呪印が美しいの?そうなると私の胸は?」


華音は、からかわれてはいるけれど、それがよくわからないらしい。

「はい、圭子さんの胸はきれい」

「すごく張りがあって、大きくて」

「でも、このアフロディーテの呪印を、こんなに間近で見るのは・・・はじめて」

どうやら、華音の興味は、圭子の美しく豊かな胸よりも、アフロディーテの呪印に向いているようだ。


今西圭子は、それが少し悔しい。

「しょうがないなあ・・・華音はもう・・・」

もう少し、自分の胸自体に興味を持たせたいと思う。


今西圭子は、華音の手首をスッと握る。

「華音ちゃん、見せるためだけに来たんじゃないよ」

そして、少し驚く華音の手を自分の胸、アフロディーテの呪印のところに導いている。


その華音の手のひらが、今西圭子の胸にペタンとつけられた時だった。

薬湯大風呂からあがり、アロマオイルマッサージを受けているシルビアと春香の身体がビクンと反応した。

どうやら、二人とも、不思議な御力で、華音の状態がわかるらしい。


シルビア

「春香・・・圭子さんに先を越された」

春香

「マジ、手が早い」

シルビア

「小さな頃にオムツを替えたからって、それが何だって言うの?」

春香

「たまたま、年上だったってだけでしょ?」

シルビア

「それにしても、アフロディーテとは・・・」

春香

「ついでに女性教育をさせる?」

シルビア

「うーん・・・そういう教育はアフロディーテが専門家だなあ、悔しいけれど」

春香

「私たちだと、ついつい華音を叱っちゃうでしょ?」

シルビア

「いや、私は春香ほどには叱らない」

春香

「そう?シルビアは、口より先に手が出る」

シルビア

「うーん・・・どうなっているのかなあ・・・お風呂で」

春香

「気が揉める、華音のアホ」


シルビアと春香はブツブツと言い合っているけれど、萩原美香と雨宮瞳のアロマオイルマッサージは、別室だった。


シルビア

「瞳ちゃんと萩原担任には内緒」

春香

「ほんと、神経使う・・・」

シルビアと春香は、同時にため息をついている。

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