第47話和風屋敷にて(1)華音はお姉さま二人が苦手?

華音と従姉二人、沢田文美と雨宮瞳は、洋館を出て和風のお屋敷に進んだ。

ここの玄関でも、沢田文美と雨宮瞳は、身体が震えた。

沢田文美

「すご・・・超重厚」

雨宮瞳

「超高級旅館って感じ?まさにお屋敷」

沢田文美

「皇族の御用邸みたい、迎賓館とかさ」

雨宮瞳

「立花管理人さんの顔が見えるし・・・和服をキッチリきこなした30代だろうか、妙齢の女性が・・・6人?まるで超高級料亭」


シルビアが玄関を開け、一行が玄関内に入ると、立花管理人の深いお辞儀と言葉

「ようこそ、お出でなさいました」

その言葉と同時に、和服姿の女性が一斉に深く三つ指をつく。


春香から、沢田文美と雨宮瞳に声がかかった。

「ご遠慮はなさらず、おあがりに」

なんともやさしく、しっとりとした声。


華音からも声がかかる。

「怖い人たちでありませんので」


その華音にシルビアが指摘。

「華音!月並み過ぎ、せっかく可愛らしい女の子が二人もいるんだから」


華音は、何も言葉を返せない。


雨宮瞳は、そこで思った。

「へえ、華音君も、やり込められるんだ」

「これは面白い」


沢田文美は、おそるおそる靴を脱ぎ、玄関をあがる。

「失礼いたします」

普段では考えられないような、言葉を口に出している。

雨宮瞳も、沢田文美にならって、玄関をあがった。


ここでも立花管理人が一行を先導して歩き、説明をする。

「華音様がお使いになっている洋館とは異なり、こちらは純和風となります」

「華音様のおじいさまが、ここをお使いになっておられました」


長く磨き込まれた廊下を歩く。

中庭もあり、小さな池や植え込みも、しっかりと手入れされている。


華音が立花管理人に声をかけた。

「このお屋敷は建って何年でしたっけ」


立花管理人は即答。

「そうですねえ、昭和初期ですので・・・90年を過ぎたところでしょうか」

「何度か手入れや増築はしております」

「水回りなどは、最新式に改修したばかりでございます」


シルビアはあっけらかんとした口ぶり。

「私は、布団と畳が好きなの」

「広い部屋で眠ると、ほっとする」


春香は、華音を少し見て

「華音は、これで案外、我がままなのです」

「最初は、こっちの屋敷で一緒に住みましょうと言ったのですが」

「どうしても洋館がいいと、言い張りまして」


華音は、またしても責められた。

「あっちの洋館も使わないと、空気を入れないと」

しきりに言い訳口調。


沢田文美は驚いた。

「へえ、シルビアさんも強いと思ったけれど・・・」

「春香さんも、華音君をキッチリ責める」


雨宮瞳は、なんとなく思った。

「華音君、もしかして、このお姉さん二人が苦手?」


華音は、うつむいている。

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