コラムその4 タネの分かった手品ほどつまらない物はない

 ビジネス書に書いてあるノウハウというのはいわば「タネが分からない手品」なのです。だから「面白く」て「楽しい」のです。


 もし本当に本を書いた作者と同じことをして欲しいというのなら、必ず「タネを明かす」工程が入ります。

 しかし、タネが分かったらその手品はとたんに「つまらなく」なります。

 すると「なーんだ、こんな程度の下らない手品なのか」と興ざめしてしまいます。

 そうなると売り上げが落ちてアマゾンレビューも散々な事になって本が売れなくなってしまいます。


 別の事例で言うなら「この先の展開全てが分かっている映画」は面白いでしょうか? 例外もあるでしょうが大抵は「つまらない」でしょう。

 少なくとも初めて見た時のワクワク感は薄いはずです。


 ちなみに勇気あるビジネスマンがコンサルタントをやってる際に、そのタネを顧客に明かしましたが、その際には「凄い! こんな仕組みを考えられるなんて! あなたは天才です!」って絶賛されたかったのに「ああ、そうですよね。確かにそう言われてみればそうですよね」としか言ってくれなくて意気消沈している。

 っていう事を本の中でボヤいていました。タネを明かすって言うのはそういうもんです。「タネの分かってる手品ほどつまらない物はない」のです。




 本というのはあくまで「商品」であって「売り物」なので「売れる」ように加工しないといけません。

 そう。本というのは必ず「売れるように」加工がされていますので「真実」は二の次となります。


 ですので「再現可能」と言いつつ「タネを明かさない」あるいは「明かすフリをする」本が出回ることになります。何故なら「タネの分かってる手品ほどつまらない物はない」からです。


 しかしタネが分からなければ完璧には再現不可能です。これがビジネス書を読んで実践しても成果が出る人と出ない人とに分かれる理由です。

 ビジネス書を読んで効果がある人は元々才能があるか、タネを暴く能力が高い人です。いずれにせよ人間性能や産まれ持った才能が高い人たちでしょう。




 専門用語を垂れ流すだけで分かった気にさせるだけの本がいかに多い事か。「主婦でも出来る」「サルでもわかる」と言いながら主婦には出来ない、サルには理解できない本のいかに多い事か。

 それもこれも「真実」よりも「面白く」て「楽しい」ウソが欲しいという本能の結果でしょう。


 これも いきものの サガか。


 蛇足になりますが「ド素人の主婦でも出来る」ってよく言いますがお前主婦業ナメてるだろ。って思いませんか?

 毎日毎日休みなく食事の献立を考える「だけ」でも相当苦労しますよ。私の場合、間違っても主婦業を下位の仕事だとは絶対に思えません。

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