読書感想文『知ってはいけない2(矢部宏治)』

茜町春彦

読書感想文

この新書を一言で評すれば、「分かりにくい」.


まぁ、仕方ないですけどね.

なぜなら、安保条約と密約が分かりにくく構成されているからです.安保条約は政治家も官僚も理解できていませんよ、多分ね.もっとも、僕を含めて殆どの人は理解していないと思いますけど・・・


それはそれとして、著者矢部宏治は頑張って解説していると思います.しかし、纏まっていないと云うか、まぁ何というか・・・3回読み返しましたけど、まだよく理解できてないような気がします、トホホ.そんな状況ですけど、ちょっと内容を要約して列挙してみたいと思います.


・米軍は、核兵器を日本へ持ち込む権利がある.通告すれば、地上配備も出来る.

皆さんも薄々は気が付いていますよね.



・米軍は、日本の国土を自由に使用できる.

最近、米軍機が低いところを飛んでいるのをよく見かけるんですよねぇ.



・米軍は、在日米軍基地から日本国外へ出撃する権利がある.

誰が許可したんですかねぇ.



・米軍には、日本を防衛する義務がない.

条約の締結から60年が経過するあいだに共産圏が消滅して、日本を共産勢力から守ると云う意義自体が消滅しているのに、誰が在日米軍を必要としているのでしょうかねぇ.


アメリカの経済の都合で始まる軍事行動に追従することはないと思いますよ.幸い安保条約の第10条に条約を終了する規定があるので、やめればいいんですよ.


そして在日米軍を撤退させて、憲法9条を改正して、共和国防衛軍を設立して、単独で防衛すればいいと思いますよ.いつまでもアメリカの兵器産業の顔色を伺い続ける義理はないです.



・自民党の岸信介などはCIAから選挙資金の援助を受けていた.

岸信介とは、皆さんも御存じのとおり、戦前は満州国政府の高官として五族共和とは名ばかりの植民地経営に手腕を発揮したあと東条内閣の商工大臣として戦費を抜け目なく調達して兵隊を次々に戦地へ送り、戦後はA級戦犯容疑者として巣鴨拘置所に収監されたけど東条や武藤とは違い上手くGHQに取り入って不起訴処分を手にして、遂には首相にまで成り上がり、安保改定では藤山愛一郎に難儀な実務を押し付けながら調印式には突然出席して調印を行ない手柄を横取りして脚光を浴びた人ですが、それは政治指導者として天性の才能が有ったと云うことでしょう.



・公式記録を改ざんしてまでも在日米軍の利便を図った外務官僚がいた.

文書改竄は日本の官僚の得意技です.今や、伝統芸ですかねぇ.



そんなこんなも結局は、国民が受け入れた事だと著者矢部宏治は言っていますが・・・まぁ確かに2009年に民主党政権によって行なわれた調査で密約が明るみに出た事を考えると、政治家を選ぶ有権者の責任も大きいですよねぇ.


あとひとつ、これが肝心な事かも知れないけれど、290頁と291頁に書いてある事が、著者矢部宏治が一番言いたい事なのだろうなぁ、と思いました.

(了)

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読書感想文『知ってはいけない2(矢部宏治)』 茜町春彦 @akanemachi

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