02 ええー
わたしは顔を洗って歯みがきをしてから、朝ごはんを食べた。
お母さんにもゼニガメと白猫のことを話したけど、信じてくれたかどうかはわからない。居間では、お父さんご
部屋に戻ったわたしは、ゼニガメ救出のための
あの白猫を探すなら、あったかい格好のほうがいいだろう。パンツのなかにちゃんとタイツを履いておかないと絶対に凍えてしまう。あ、お気に入りのスキニーデニムは
結局、ブラウスに
玄関でブーツを履きながら、身につけた白の腕時計を確認する。午前十一時過ぎ。日が暮れるまでにはまだまだ時間はある。マフラーを巻いて、さあ、出発だ。
外に出てみる。
うん、寒くない。青空で陽があるから、思ったよりも気温が高いのかもしれない。
そういえば、あの白猫の足あとは歩道に残っているかな? あー、雪を踏みしめられたアイスバー
雪の積もった円山公園は、雪がかかれていないところが多くて足を踏み込めない場所も多かった。通れそうな道を見つけては公園内を
家にこもってばかりで過ごしてきた冬休みに、ひさびさにこうやって歩いてまわるのは楽しい。これならふだんからもっと外に出てもよかったのだけれど……。そっか、毎日雪かきしていたら疲れて外に出るのも
円山公園とその周辺を一時間くらい歩き回ったけれど、犬の散歩とすれ違うくらいで、手がかりになりそうなものは見つけられなかった。
ただ歩いているだけじゃダメなのかなあ。聞き込みとかしたほうがいいのかなあ。話すの得意じゃないしなあ。それでも、ゼニガメを救い出さなきゃいけないんだ。すこしは頑張らないと。けど、どうやって尋ねよう?
あの、頭にカメを載せた白猫見かけませんでした? ふふっ、言葉にしてみたらなんだか
ここは一度、
わたしはリュックのなかから
ペンギンが歩いていたのだ。
しかも、三羽いた。
「ええー」
三羽のペンギンが列を作ってひたひた歩くすがたを目で追っていると、先頭のペンギンが横断歩道のまえで立ち止まった。うしろの二羽もそれにならう。信号が青になると、三羽は右を向いて左を向いてもう一度右を見なおして、横断歩道を渡りだした。
横断歩道をぺたぺたと歩く三羽の横を、小学生の男の子たちが駆け抜けていく。
あの子たちには見えていない?
ペンギンたちは、わたしのいる側の歩道へとたどり着いた。三羽は左右をもう一度確認している。そのうちの一羽がこちらへ振り向いたとき、なんと、わたしと目が合ってしまった。残りの二羽もつづいてこちらを見て止まった。
……あわわ……どうしよう。――あ。
右手にあった飴玉が、一粒、指のすきまから、地面へころげ落ちた。小さな袋に入っているので中身は無事なのだけれど。
ペンギンたちの瞳が、きらりとした。すぐさま、わたしめがけて三羽が走り寄ってくる。
「えええ……」
腰が引けて、思わず逃げたしそうになったが、ペンギンたちは、わたしの
(1)ジョージ・ガーシュウィンが1924年に作曲。アメリカの代表的なシンフォニック・ジャズ楽曲。
(2)路面凍結。氷点下の気温の地域で、道路上にて積雪や降雨による水分が凍りつくこと。
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