境界線上のホライゾン NEXT BOX

川上 稔/電撃文庫・電撃の新文芸

NEXT BOX 序文





 ――これは、末世が解決された後の、極東、武蔵と世界を巡る物語。





 極東の空の下、大地の上を、全長八キロの巨大艦が行く。


 ここは地球。

 神代と呼ばれる時代に、天上にて争い、力を失ってそこより降りた人々の住まう星。

 だが地球上は、人々が留守の間、環境回復を任された環境神群達が頑張りすぎて、その基軸となる極東以外、激化環境となっていた。

 つまり神ではない人類は、極東より外へと出られなくなったのだ。


 人々は幾つかの諍いや、再びの争いによる自滅をしそうになり、これではイカンと、自分達を自分達以外の方法で律することにした。





 一つが歴史再現。

 つまり人々がかつて天上に上がった歴史を、なぞり、管理しながらやり直すことで、安全かつ早く、文明を取り戻し、天上への復帰をすること。


 一つが聖譜。

 歴史再現で何が起きるかを、運命の進行速度に紐つけて百年先まで明かし、抜け駆けや富の偏在が起きないようにする預言歴史書。


 一つが重奏世界。

 極東外への開拓を行うため、そして狭い極東での土地問題を解決するため、極東のコピーを異空間に作り、そこに極東以外の各国を住まわせ、研究と歴史再現を進めることとした。

 但しこれは、後に極東側のミスで失われ、異空間から撤退した世界各国が極東を暫定支配する原因となった。


 ここは極東。

 現状、世界各国は極東の各地を暫定支配しながら聖譜を頼りに各国の歴史再現を行い、その支配下で、極東側は自分達の歴史再現を行っている。

 1648年に起きるとされた世界の滅亡。

 ”末世”と呼ばれるものは回避され、今、各国は極東の暫定支配を解く方向に向かいながら、新時代の歴史再現と外界への開拓運動を進めている。



 これは武蔵勢。

 極東の代表者達であり、末世解決の後、武装解除した巨大航空艦・武蔵と、こちらは武装保持の同型艦・大和を有し、暫定支配された極東の復権や他国の援助に尽力している。

 基本的には切れ味のいいトラブルメーカーと、フィジカルも嫌がらせも何でもありの解決屋。聖譜に書かれた”死の歴史”の強制などを、聖譜の悪用として審判する役も持つ。

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