第9話 酒場
「まぁ、飲め、飲め、」
巨漢の男達に囲まれた俺は、今、酒ハラを受けてる真っ最中、
どうして、こうなった!
俺が先に予約した店に、後から団体さんが予約して来て、先に予約した俺に取り消しを求めて来た、
納得いかない俺が、少しゴネルと、店長が団体さんと一緒で良いかと言うから、勢いで良いと言ったのだが、
もともと、俺は酒を飲むと見知らぬ人とも直ぐに仲良くなって、意気投合するタイプ、ちょっと酒席で現地の人と知り合いになるのも良いかなって軽く考えていた。
日常品等を買ったり、市場を冷やかして、時間を潰した後、
まだ、団体客は来て無いようで、俺はウェイターに隅のテーブルに案内された、
直ぐに酒と料理が運ばれて来て、酒は、此方では『レド』と呼ばれている、
此は、
食事は前菜で、青い葉っぱに、加工肉のような物が入っていて、その加工肉の脂で葉っぱを一緒に食べる、肉の脂の甘味と葉っぱのしゃきしゃき感が、程好く調和し、すっごーく
奴等がやって来た、
野太い声が、
「おっ、此処だ、此処だ、広い、広い、此処なら、全員が入れますよ、殿下!」
殿下?
「あんまり、はしゃぐなよ、ロンゲル!」
えっ?
聞き覚えのある、男喋りのハスキー声?
どやどやっと入って来る、白い制服の一団!
ええええええええ!!
まさか!!
まさかの、
団体の軍人さん達は男性と女性が半々位で、最後の方に入って来たのは、赤茶の長い髪を後ろで結んでポニーテールにした、瞳の色は緑、そしてグラマーでスタイル抜群の、
リナちゃん!
そして、その後ろに、
長く、美しいオンブレ・プラチナの
ルーナ!
軍人さん刈りの巨漢が、
「殿下とリナ副将は
と怒鳴り、
ええええええ、
此処って
巨漢ら三人がずかずかと俺の前にやって来る、
えっ、
もしかして、此の席が
その巨漢が、俺の前に立ち止まり、でかい声で、
「其と、今日は、民間人が是非、俺達と一緒に
ワァアアアアアアアアアア!!!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
ヤバイ、大喝采に大拍手、
まんま、体育会系のノリだ!
此処は、まず挨拶だよなぁ、
俺は、椅子から立ち上がり、
ルーナちゃんの方に向かって、俺は前にいた世界の挨拶、御辞儀をしたら、ルーナちゃんも慌てて、御辞儀をした。
うん、可愛い。
俺が、挨拶を終えて、再び椅子に座ったら、
ドカッ!ドサッ!
俺の両側に巨漢の二人も椅子に座り、俺の前の、腕の太い、先程から仕切っている男が、
「じゃ、まず、
ワァアアアアアアアアアア!!!
また、大喝采、えーと、ボールに入った酒?
じゃ無くて、ホールにウェイター達が、
すげぇ!
また、男も女も、2リッターは入りそうなデカイジョッキが配られて、流石にルーナちゃんはコップだが、リナちゃんの前にも巨大なジョッキが。
大勢のウェイトレスが樽の
仕切っている男が、
「まず、乾杯の前に、リナ副将より一言!」
へぇ、
此方にも乾杯があって、その前の一言も有るんだ、と俺はどうでも
リナちゃんが立ち上がって、デカイジョッキを片手で持って、
「諸君!我等は無敗だぁ!!!」
ワァアアアアアアアアアア!!!
此の一言で、またホールは大喝采、
リナちゃんは、ルーナちゃんを指しながら、
「船は、ルーナ殿下の力で落下しなかった!!!」
ワァアアアアアアアアアア!!!
ルーナちゃんが必死に否定している。
あのー、船を落下させないようにしたの、俺なんだけど、と俺は心の中で一人言を言い。
「我等は、『魔人』にも負けてねぇ、たまたま、『スグル』って言う、変態野郎に手柄をかっ
ブウブウブウブウブウブウ!!
ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!
凄いブーイングの中で、
何で、俺の名前、知ってんの!!
何で、俺、変態になってんの!!
「だから、次は、俺達が『魔人』を
ワァアアアアアアアアアア!!!
グビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビ
また、大喝采の後、全員が酒を飲み始めた。
しかし、リナちゃん、どんだけ負けず嫌いなんだ。
ドカッ!グビグビグビ!プウッワァ!!
仕切っていた、巨漢が俺の前の椅子に座った瞬間、一気にジョッキの酒を飲み干し、飲んだ後は恒例のプウッワァって、飲んでんのビールなのか?
プウッワァ!プウッワァ!
両側の巨漢も、旨そうに酒を飲み干し、二人同時にプウッワァ、
仕切っていた男が、泡だらけの口を
「いやぁ、客人、今日は、我ら『
へぇ、此の軍隊、『
しかし、素人目には、俺の両側の二人とも筋肉隆々でとても太ってるとか痩せているかの区別がつかないんですけど!
流石、軍隊、体脂肪のハードルすっげえ高い、コイツらの基準だと、俺は確実にデブだ。
まぁ、取り合えず俺はロンゲルの旦那に、
「おめでとう、俺は、『コウイチ・オサダ』だ。」
と前の前にいた世界の名前を名乗って、彼と握手をした。
ロンゲルは、酒で真っ赤になった顔で、
「うっれしいねぇ、魔導省のお荷物と言われた、俺達、『
ファン?、なんでそんな設定なの!、店長か!、店長が苦し紛れに、あんた達に言ったのか!
だいたい、俺、貴方達の事、今まで、知らなかったし、貴方のようなゴツイ方のファンんじゃないし、
と心の中で叫んでいると、
ロンゲルが、おや、ってな顔して、
「なんだ、なんだ、客人、そんな
えっ、
えっ?
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そして、俺の前にもデカイジョッキに並々と
「まぁ、飲め、飲め、」
と、なった。
俺は、飯を食いに来たんだが、此の量の酒を飲んで、飯が食えるのか?
試しに、一口、
ゴクッ、
えっ!
「冷たい!其に旨い!」
俺は驚いた!冷えてる!此の
ロンゲルは、嬉しそうに、
「そうだろ!そうだろ!冷えてる
冷蔵庫で冷やしたのか、イヤ、違う、冷蔵庫なら出したら直ぐに生ぬるくなる、其にあの樽から酒を注いで持って来た、
うん?
俺はジョッキに薄く模様が刻まれていて、
俺はジョッキを持ち上げて模様を見た、
「此は?」
ロンゲルが、えってな顔して、
「客人、
俺は慌てて、
「東の国の、田舎の出身だから、」
と言い分けをし、ロンゲルは納得ってな顔して、
「まぁ、冷却の魔導回路が刻まれている
此が、魔導回路、
「じゃ、あの樽の模様も、」
ロンゲルも樽を見ながら、
「そうだよ、
魔導回路!
此が、魔導回路か、
良く見ると、
星に選ばれた者は、選ばれ無かった多くの人を見下し、差別が生まれていた。
その当時の俺は、其が当然だと思っていた、しかし、多くの世界を見て来た、生きて来た、俺は、今なら分かる、選民思想が危険な思想で有る事を、
幾多の国が、その差別的な仕組みで滅んでいった。
人は差別を受け入れられる程、寛容な生き物では無い。
差別は、多くの不満の源泉となり、やがて、その不満が世界を変える引き金と成る。
だから、もしかして、そんな『星の大国』だから、滅ぶ運命だったのかも知れない。
俺が、暗くなった事に気付いた、ロンゲルが、明るく、
「さぁ、客人、飲んだ!飲んだ!グッとな!!」
そうだ、今は、過去を気にしてもしょうがない、
兎に角、今日は、飲もう、
俺は、グイッとジョッキを傾け、
一気に、冷えて旨い、
グビグビグビ!
グビグビグビ!
グビグビグビ!
プウッワァ!
うっーーーーーーーーーめえええぇぇ!!!
ワァアアアアアアアアアア!!!
えっ?
俺がジョッキの酒を飲み干したら、また、大歓声が起こり、見ると、
ウェイターとシェフが台車に乗った牛の丸焼きをホールに運んで来た、
牛は大きな串に刺さっていて、台車の下から出る炎でジックリと焼かれていて、串は自動で回転していた、
此も、魔導機関で動いているのか?
その豪快さに、俺は唖然とし、
「?あれを食べるのか?」
とロンゲルに聞くと、ロンゲルは嬉しそうに、
「おう!あれが、バルセリア名物、
「えっ、『肛門ぐるってドン?』」
ロンゲルは焼かれている牛を指して、
「客人、違う、あの焼かれて旨そうなのがコルゥモウ、なっ、で、ああ言う料理の仕方が、グルドン、」
俺は、
「成る程、『コリャモウグルッチャダン』って分けだ。」
ロンゲルは、呆れて、
「流石、東の国の客人、発音がめっちゃくちゃだ!」
ってな冗談をロンゲルとしていたのだが、その時俺は、一向に、自分が頼んだ料理の続きが出てこない事に気が付いた、
俺は、ウェイターかウェイトレスに、料理が遅い理由を聞こうとキョロキョロしていたら、
ロンゲルが気付いて、
「どうした、客人?」
と言ってきたので、
「あぁ、俺の頼んだ料理が、まだ、来ないんだ。」
と俺がロンゲルに言ったら、ロンゲルが嬉しそうに、
「あぁ、其は、俺がキャンセルしといた、」
ええええええええええええ!!!
勝手にキャンセルしちゃったの!
「ルーナ殿下がなぁ、折角の客人が一人、粗末な食事をしてちゃ、申し訳な無いって言うから、じゃ、客人にも、『グルッテドン』、違う!、兎に角だ!客人!一緒にあれを食おう!!金は要らねえぞ、俺達の
そ、そうか、ルーナちゃんが、俺に気を使って、
俺はルーナちゃんの方を見てみたら、
えっ、目があった、ルーナちゃん、此方を見てたの?
俺は、奢って貰ったので、ルーナちゃんに頭を下げたら、向こうも頭を下げた、
うん、可愛い。
バルセリアは、此の国の東部の端の街で、国境が三角型の頂点のような形状をしている為に三つの国と接している事になるのだそうだ、
隣の国は、ポワジューレ共和国で、北の国が、北方共和国連合、南の国が自由都市同盟、だとロンゲルから教わった。
でっ、バルセリアの主要産業が畜産、広大な土地で野生の牛のような動物、
此の
で、『
この
実は此の部隊の隊長であるルーナちゃんは、此の国のスッゴーク偉い人の娘さんで、そのうえ、今、ルーナちゃんは国民に大人気、だから特別に店が
成る程、そりゃあ、俺の飯はキャンセルするだけの価値は有る。
シェフが、丸焼きの
俺達の前にも皿が置かれ、皿には前の世界でも食べた事のない、大きさ厚さの肉が、長さ三十センチ、巾二十センチ、厚さ十センチの綺麗に焼かれた肉が置かれていた。
凄い!!!
ウゥオオオオオオオオオオオ!!!
ホールは、肉を食べた隊員達の、その旨さに感動した歓声が沸き起こっていた。
「うっーめえええええええ!!!」
ロンゲルが涙を流しながら、感動していた。
「さぁ、客人、客人も一口、食べてみてくれ」、とロンゲルが俺に食べろと勧める。
俺は、肉を一口サイズに切って、此の
えっ!
すっげえーーーーーーえええ!!!
口の中で肉が溶ける!!
肉の甘味とコク、其に香辛料の辛みが絶妙なハーモニーを奏でている!!!
また、表面の焼けた肉のカリカリ感と中のトロトロした半焼けの肉の食感と味わいがすっごーく良い!!!
俺は思わず、
「うっーめえええええええ!!!」
と叫んだら、またルーナちゃんと目が合って、彼女は笑っていた。
旨い酒と、
旨い飯が出揃った、
そして、
会場は最高に盛り上がり、
『
俺の、
大宴会が、今、始まった!
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