ゲーマーカップルの日常

凶花睡月

第1話「いえーい。ピッチピチのJKだぜ!」

「おーい。三夏さんや」

「んー、なにかね冬也くん」

 スマホの画面から目を全く話さずに答える三夏。

 あまりといえばあまりな態度だが、いつものことなのでスルーする。

「明日から学校が始まることはご存知かね?」

 ぐてーっと横になりながらずっと操作していた三夏だったが、さすがにぬくっと起きだした。

「うわぁー、聞こえないなー」

「現実を見なさい現実を」

 指先でおでこを軽くつついてやる。

 すると、大げさに悲鳴を上げながらばたっと床に倒れた。

「きゅー…」

 Tシャツに短パンというラフofラフな服装。

 大の字に横になってしまったせいでいろいろなところが見えてしまっている。

「ほらもうピシッと」

 仕方がないので服をいじって直してやると、

「きゃー、襲われるー」

 三夏は棒読みでそんなことをぼやいてきた。

 ならもっと抵抗してみてほしいところである。

 やはり、なんというか、危機感がなさすぎやしないだろうか。

「ほんとに気をつけろよ。もう高校なんだから」

 それに一応、三夏もなんだし。

「いえーい。ピッチピチのJKだぜ!」

「うわー、おばさんくさいなー」

 決め顔でピースしているところとか特に。

「ひどーい。まあ、いいや。これやろー」

 三夏は手に持っていたスマホを見せてくる。

 期間限定のイベント。高難易度の討伐戦だ。

「あいよ。じゃ、やるか」

「おー!」

 三夏は先ほどのやり取りをもう忘れたかのようにゲームに夢中になっている。

 明日になれば嫌でも見るだろうと思いながら、冬也はあきらめたように自分のスマホを手に取った。

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