登場人物の立ち位置次第で見えてくる真相が違うというお話です。ひたむきな少年がむしろそれ故に理不尽に突き落とされる、彼の知らない真相の残酷さ。このヒロインは悪女ではありますが、闇や葛藤を併せ持つ造形には読み応えがあります。
「言の葉の庭」のような、ある雨の日に始まった少年と年上女性の恋物語。二人の関係はどうなっていくのだろうとぐいぐい読ませます。私の文章力では、この作品の素晴らしさを伝えきれないのが、くやしいです。