第3話 身長制限の話


 「ちっちゃい……」の主人公の佳奈さんは「身長148.5㎝」という設定ですが、書いている私めは実は149.8㎝です。私にとっては重大な「1.3㎝の差」ですが、傍目にはほとんど一緒でしょう。

 家でも学校でも職場でもほぼほぼ「一番小さな生き物」として存在し、ゴーカート系のアトラクションでは運転席に座れず、満員電車に乗ればいつも窒息死寸前という恵まれない人生を送ってまいりました。


 嗚呼、一度で良いから誰よりも高い所に行って、世間を見下ろしてみたい。


 そんな「無い物ねだり」から飛行機に興味が湧き、同じ飛行機でも旅客機より戦闘機のほうが高く飛べるらしいと知ってからは、戦闘機乗りになってみたいなどと大それたことを思うようになり……。


 ところがっ! 調べてみたら、そのパイロットですら身長制限があるではないかっ。世の中、背が高いってそんなに大事なのかい! 

 で、では、整備士さんとかどうだろか。世界で一番高いところを飛ぶF-15の整備とか、めっちゃカッコイイ~! いつも人様に「ちっちゃ」と言われる私が、高度2万メートル近くを飛ぶ飛行機に触るのだ! すごいだろお!(ほぼ意味不明)。


 で、調べてみると、戦闘機の整備という特殊な世界に入るには航空自衛官という職に就くのが一番らしい。で、その自衛官になるにはと調べてみたら、……やはり身長制限があるのかーい。

 身長149.8㎝のワタクシ、2ミリ及ばず夢破れてしまいまいた(号泣)。


 そんな哀れな経歴をとある制服さんに話しましたら、ヒグマのようにデカい彼は、「2ミリ? そんなもん俺が微調整してやらあ。頭出せっ」と言って、でかい拳を出してきやがりました。

 丁重にお断り申し上げて現在に至っておりますが、このギョーカイ、私にはどだい無理だった。いろんな意味で……。



 自衛隊のパイロットさんの身長制限は男女共通で「158㎝以上190㎝以下」となっていますが、パイロット以外の職種に就く自衛官の場合は、「男性155㎝以上、女性150㎝以上」と性別の違いがあります。なぜ男性のほうが5㎝高くなければならないのかは分かりません。

 あ、陸自の「職業訓練高校」的な存在である高等工科学校(旧少年工科学校)の合格基準のみ、中卒者対象のため身長制限が少し緩くなっています。男子のみの募集ですが……。


 もちろん、身長が規定の数字をクリアしていれば万事OKというわけではありません。公文書によると、合格基準の項目には、身長の他にも「体重」「肺活量」「視力」「色覚」……と条件がぞろぞろと並びます。


 その中で妙に気になったのが、「胸囲」という項目。


 ちょっと、胸の大きさまで図るん? 世に言う「ちっぱい」はお断りってことですかい。それ、はっきり言ってセクハラやんか。

 怒り心頭で胸囲の合格基準表を見たところ、「身長191㎝以上」の女性に求められる胸囲は81㎝となっていました。あー、不健康にひょろ長いのはダメ、っていう話でしたか。

 いろんなところがちっちゃい私めの心の眼鏡がヒガミでくすんでいたようでございます。えろうすいません。



 身長の話はこれからも「ちっちゃい……」本編でチョロチョロ出てまいりますが、書いている人間の不遇な人生を色濃く反映している哀れな主人公に幾ばくかのお情けをいただければ望外の幸せでございます。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る