第123話 贅沢
「これ、明菜ちゃんが好きなブランドなの。見て素敵でしょ!」
ジャケットとスカート、バッグを見せびらかす。
ボーナスのほとんどをブランド物に使いご満悦の20代。
バブル期全盛。ホテルの窓から横浜の街を見下ろす。
フランス料理を食べ、酔った目に映る男と夜景。
欲した贅沢は一夜で消えた。
お金をかける事が贅沢だと思っていた。
「お父さん、もう一周歩くんだって。あなたは?」
「私は少し休憩するね。あー、疲れた」
体力作りのため、夫と娘と三人で散歩をする。
ツツジがキレイ。風が心地いい。
帰宅後、娘の手料理を頂き、ゲームの話で盛り上がる。
三人で朝から晩まで一緒の時間を過ごせる贅沢。
2人の笑顔を見る時間。なんて幸せなんだろう。
夜は私だけの贅沢タイム。
小説を読む。読む。
イレギュラーな小説の更新通知に興奮デバネズミ。
『記す人々 十森克彦様』
聖書中の執筆に関わった人のフィクションだ。
フォロワーが二人、コメントするのは私だけ。
ダビデを書くときは、私の反応を気にして書いたと
教えて下さった。大喜びのデバネズミ。
独り占め出来る事が嬉しくてたまらない。
感覚おかしいデバネズミ。
好きな作品を自分だけ楽しむ時間。
なんて贅沢なんでしょう。最高!
「ここで書いたらダメじゃん」
娘に怒られそうなデバネズミ。
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