第91話 伝説上の生き物

「かわいそうに、何かに怯えた顔だね。今にも

 泣きそうな顔だけど、何かいるのかな?」

 私の妹が娘のアルバムを見て呟く。

「何だったかな?でもそばに人の足があるね」

 思い出そうと必死のデバネズミ。

 まあ、いっか。アルバムを閉じて妹と談話。


「私ね、今ね本屋に行かなくても小説読み放題

 なんだ。カクヨムって言うの。知ってる?」

 本好きな妹に軽く宣伝するデバネズミ。


 今まで読んできた小説を一つ一つ説明する。

 異世界、詩、恋愛、BLファンタジー何でも。

 妹はハリポタやネバーエンディングが好き。

 伝説上の生き物が活躍する小説を紹介する。

 私は、フェニックスやユニコーンが好き。

 ケルベロス、クラーケン、キメラや

 チュパカプラは怖くて苦手。鵺も無理。


 カクヨムでユニコーンのタグをポチッ。

 『ユニコーンに非処女を乗せたらどうなるの

  か試してみた』   R・S・ムスカリ様

 私なら振り落とされて、蹴飛ばされるね。

 笑いながらフォローした作品を紹介する。

 二人の冒険家が、酒場の看板娘が処女かどうか

 口論となって、解決するためにユニコーンを

 捕獲するお話。面白い世界観に引き込まれ

 更新が楽しみなことも、力説する。


 ところが、クライマックスでユニコーンが

 バイコーンに変わってしまう。そんなの

 聞いてないよー、半泣きのデバネズミ。

 バイコーンって不純を司るモンスターで

 善良な男だけを食い殺すらしい。

 ここまで一緒に冒険してきたんだ!

 バイコーン殺しを応援するデバネズミ。


「他にもあるんだけど、ギリシャ神話の神様

 たちがね、え~と」

「もしかして、旦那じゃないの!さっきの足」

 話の途中で妹が叫ぶ!――思い出したっ!

 またアルバムを開いて写真の端に目をやる。


「思い出した!あの時の写真だ!見て。これ

 旦那の顔が少し写ってるよね。間違いない!」


 今から23年前の記憶がよみがえるデバネズミ。


 娘を笑わせるために、夫が頭からストッキング

 を被って顔をペチャンコにしたんだった。

 娘はそれを見て泣いたんだ。その寸前の顔。

 

 夫は伝説上の生き物ゴーレムに似ていた。




 ☆今回、ムスカリ様に宣伝の許可を得て

 書いております。面白いので良かったら

 読んでみて下さい。


 


 

 


 



 

 

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