第80話 スズメ
「ねぇ、スズメが水浴びしてるよ、かわいい!」
朝からうるさいデバネズミ。夫も娘もお休み。
昨夜の雨で出来た水溜まりに、スズメが
交代で水浴びをしている。大衆銭湯だね。
夫が仕事に行くと淋しくなった新婚時代。
ベランダに来るスズメが唯一の遊び相手。
「どうして、家にスズメがいるの?」
帰宅した夫のビックリ声に、言い訳をする。
「窓を開けておいたら、勝手に入ってきたの」
本当はお米を餌にして罠を仕掛けた。内緒。
「お母さん、朝からうるさいんですけど(怒)
スズメがミズアビしてたんだって?」
寝起きの娘は滑舌が悪い。
「ミツアミ?スズメの三編みかわいいね」
「……朝から、ほんと、止めて」
余計に怒らせるデバネズミ。耳が遠いんです。
洗濯物を干しながら、水浴びスズメを見る。
癒される。本当に可愛くて、癒される。
ミミズもおけらも、アメンボも、生きてるもの
全ていとおしくなる幸年期。けど、爬虫類NG
「そろそろ、朝御飯にしてくれるかな。
あっ、スズメが何で水浴びするか知ってる?」
「知ってるよ。体に付いた虫を取るんでしょ」
「スズメが恐竜の仲間って知ってる?」
夫がニヤリと笑う。爬虫類嫌いを知っている。
なんですとー‼そんなわけない。
あのつぶらな瞳、ふっくらしたまるっこい体。
可愛らしいくちばし。チュンチュン鳴き声。
恐竜が水浴びしますか?電線に止まりますか?
恐竜なの?――そっと窓を閉めるデバネズミ。
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