第74話 いっせきにちょう
25年前、出産を間近に控え、赤ちゃんグッズを
ひとつひとつ確認する。
「ベッドよし、温度計よし、哺乳瓶よし」
「どうしてオムツを2つにわけてるの?」
怪訝な顔で夫が聞く。
「こっちは、おしっこ用で、こっちはウンチ用」
「……?……何で?……?赤ちゃんだぞ!
どっち出すか分からないだろ(怒)」
「……そっか、両方かもね。一石二鳥だね」
使い方がおかしい!本当に子育て出来るのか?
不安がる夫。無視してオルゴールを取り付ける私。
「咳したら、なんかそこらじゅう痛い!」
喘息持ちの夫は、台風前は特に調子が悪い。
「胃とお腹も負担がかかるの?一咳二腸だね」
使い方がおかしい!本当に心配してるのか?
ぶつぶつ言う初老の夫。無視して煎餅食う私。
「死んだら、棺桶にこれ入れて」
大切にしている物リストを口答で伝言する夫。
「ダメだよ。それ私が貰うもん。てか、死ぬ
なら、私が再婚出来るうちに死んでね」
50代で死ねないなら、90代まで生きて下さい。
それなら、諦めもつくデバネズミ。
夫は私の腕の中で息を引き取りたいと言う。
筋トレ始めるデバネズミ。
「棺桶に何でも入れていいの?」
「燃えるものなら、いいんじゃない」
「じゃあ、私も一緒に入ってあげる」
「……、……ありがとう」
だって一石二鳥だもん。使い方がおかしい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます