第39話 アライグマvsデバネズミ

「作業帽洗っといてくれ」

 洗う作業を得意とする夫から頼まれた。

「よっぽど疲れてるんだね。任せて」

 洗う作業を苦手とするデバネズミ。

 時間をかけてゴシゴシ、もいちどゴシゴシ。


 娘も夫と同じアライグマ。

 学校の上靴を真っ白にしていた。

 二人とも洗車完璧。

「お母さん、もっと丁寧に拭いて!」

 拭く作業も適当なデバネズミ。怒られた。


 ガソリンスタンドの臭いが嫌い。

 給油中は車で待機する。

 セルフでテキパキこなす娘を

 横目に見ながらゲームする。

「お母さん、車内を拭いて!」怒られた。


 妹とランチしてドライブした後、

 ガソリンないので慌ててセルフへ。

「やったことないのよね。私」

 見よう見まねでキャップを外し、

 黒いホースを引っ張り、突っ込む。

 1分経過。「入ってるのかな?」

 3分経過。「何も音がしないね」

 妹と二人、腕組みながら5分経過。


「なんか、給油の間、先端持ってた」

 急に娘の姿を思い出すデバネズミ。

 ノズル突っ込んでも、

 ほったらかしでは給油されない。

「ここ押さないと給油されないんだ!」

 初めて知った!妹と二人で大笑いした。

 洗車もガソリン入れるのも父親に全部

 お任せの妹も、デバネズミなのだ。

「私たち、太陽の下は苦手なの」


 この話に夫と娘は白い目を向ける。

 アライグマ族は怖い。


「帽子の洗いは85点位の出来ですか?」

 頑張って洗ったよ。控えめに85点、どうだ?



「……内側に汚れが残ってる。65点 だ!」

 厳しすぎる。白目をむくデバネズミ。

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