第28話 コミュニケーション 娘の場合

「たぶん、三十六度八分だよ」

「……残念でした!三十六度五分」

娘が体温計をしまいながら結果報告。


この頃、私の手のひら体温計が狂う。

娘のおでこに触れただけで体温当てたのに。


娘が幼稚園から中学生になるまでの

十年間、毎日髪をとかし、結んだ。

三つ編み、片編み込み、ポニーテール。

朝のコミュニケーションの時間。

「今日、ちっょっと熱い。熱がある」

頭皮に触れただけで体調の良し悪しが

確実に分かった。


高校時代はサラサラのストレート。

自分で髪をとかすのが当たり前になった。

何も出来ないデバネズミ。


浴衣を着る時と、成人式の二次会の時、

娘の髪を久しぶりに編み込む。

幸せの時間だ。


このコミュニケーションは今度いつかな?

デートの時? 結婚式の二次会?


今から練習、練習。そして

娘が結婚して女の子が生まれるのを

楽しみにしている幸年期のデバネズミ。





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