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二時間後、生徒会室に全員が集まっていた。生徒会長、齋藤隆煕。副会長、ミッキー=チャン。書記、ソフィー=クローデル。総務、宮原優子、紫藤琴葉、そして綾雲咲姫。全員と言ってもこれだけだけど。齋藤先輩をこの距離から見るのは初めてだ。長身で涼しげな眼をしている。一言で言うとイケメンだ。これで頭もいいっていうんだから、天は二物を与えたのだ。
「これが開票結果だ」と、ミッキー先輩が選挙管理委員会から渡された一枚の紙を置く。全然緊張とかしてなかったのに、そうやって言われると急に心臓がバクバクし始める。
「安倍文則:四五一。綾雲咲姫:四五九。白票、無効票:三五」
みんなが笑顔で私の顔を見ている。全身から喜びが湧いてきて、ポップコーンみたいに弾けそうな気分だ。
ミッキー先輩が「おめでとう」と握手してくれて、ソフィー先輩がハグしてくれた。ソフィー先輩にハグしてもらえるなら、選挙を頑張ってよかった!
優子が「これから宜しくお願いします」とはにかんで、齋藤先輩はぼそっと「すばらしい」と言った。
そこへコトが、「過半数に達してないけど、会長になれるの?」と疑問を呈する。
一瞬空気が固まったが、ミッキー先輩が「有効票の半数を超えていれば問題ない」と笑った。選挙というのはそういうものらしい。
生徒会長、綾雲咲姫。副会長、宮原優子。書記、紫藤琴葉。新生徒会役員の誕生だ。
もう五時が近いので、下校放送をかけるためにコトと二人で放送室に移動する。
「よっ! 会長!」と、ハッキンがよく分からないテンションで迎えてくれた。一方、ワタルはいつもの暗い調子で、「本当に大丈夫なんですか」と聞いてくる。
私は「何が」と素っ気なく返す。
「演説で話したこと、本当に実現できるんですか」
「そんなのやってみなきゃ分かんないでしょ」
「下校時間が五時なのは教員の労働時間の都合です。生徒会の範疇を超えていると思います」
「自習室は七時まで開いてんじゃん」
「あれは自習室だけですから」
ワタルはあくまでも私の演説にケチをつけたいみたいだ。だんだんイライラしてくる。
「何が違うの」
「自習室だけか校内全体かでは、私たちを管理しきれるかどうかが違います」
「だから、管理されたくないって言ってるでしょ」
私の怒りが伝わったのか、ワタルはもう言い返してこなかった。
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