大賢者になったけど全然モテない件について。

@EricaKr

1 俺のプロローグ

「きゃーっ、勇者様よ!」

「勇者様の御一行よーっ!」


きゃあーっ!と黄色い歓声があがる。

俺の隣にいた勇者ことラルフは、歓声を受けて満更でもなさそうな緩みきった笑顔を浮かべる。

そしてそんなラルフの頬を聖女でありラルフの恋人でもあるリオンがぎゅうぎゅうと抓った。


「もーっ、ラルフ!そんな若い子がいいなら若い子の所に行けばいいでしょ!」


ふーんっ!と拗ねたようにそっぽをむくリオンにまぁまぁ、と声をかけたのは獣人で女剣士であるレイナ。


「リオン、ラルフはなんだかんだ言ってお前のことが大好きだから大丈夫だ。昨日の飲み会など、酔ってひたすら惚気を…」

「ぎゃーっ、ぎゃーっ!」


真っ赤な顔で慌てて訂正するラルフが微笑ましい。


「くそ、なに笑っちゃってるんだジュゼッペ!」


飛び火してきたので素直に答える。


「微笑ましいなと思って。子供みたいで」

「4ねイケメン」


中指を立てるラルフの頭を軽く小突く。ラルフだって俺のことを言えないくらいイケメンなのだ。

俺だって自分がカッコいいのは重々分かっている。

なのに、なのに…


どうしてっ、どうしてモテないんダァァ⁈


生まれてから17年。1度も彼女ができたことがない。


1度旅に出てまだはじめの頃、俺もまだまだ全然弱い時にサキュバスに捕まったことがあり、DT童貞こそ卒業しているものの、あの時は精力を奪われたお陰でパーティメンバーの男は全員動けず、全然いい思い出じゃない。


俺もリオンとラルフのようにラブラブな彼女が欲しい。あーん、とかしてもらいたい、キャーキャー言われたいっ!


彼女欲しいいぃぃぃ!

何故っ、イケメンなのに、大賢者なのに、彼女が出来ないんだァァァ?!


これは、そんな俺の、彼女ができるまでのはなしだ。

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