6月4日 月曜日
第3話 黒木 暗子
◆黒木
午前2時。
ついに成功した。
私が黒魔術を研究して3年、悪魔を召喚することができた。
今までうんともすんとも言わなかった魔方陣が遂に私に膝を屈したのだ。
「うおっ! なんだこれ? 魔方陣??」
召喚した悪魔はセミロングの緑の髪に大胆に肌を露出した服を着ていた――ビキニ?。
……スタイルは良い。
背丈は私と同じ高校生くらい。
思っていたより人っぽいし、はつらつとした顔付きから、苦手なクラスメイトを思いだし少し悲しくなった。
――が、角が生えていた。
悪魔らしさを感じ少し嬉しさが戻ってきた。
「あ、あなたが私の召喚にお、応じた悪魔ね……?」
どもるのは緊張ではなくいつものことだ。
人と話すのは苦手だ。
……人ではないけれど。
「えっ? いや召喚はされてないけど」
えっ。
「いや、凄いなぁこれ。 真っ暗な部屋の中心に魔方陣。 蝋燭も立ってるし。 良い趣味してんじゃん!」
「い、いや、これは悪魔召喚の儀式で……」
「いやいや! 無理だよ! だってみた感じ生け贄とかないし!」
「生け贄いるのね……やっぱり」
「そりゃもう。 魔界は現金よ」
「じゃ、じゃあ、あなたは…」
「私はカノ! 悪魔ってのは合ってるよ。 私は儀式のパートナーを探しに来たんだ」
「私は、黒木暗子よ……。 ぎ、儀式……って……?」
「今ねぇ、悪魔の王を決める儀式が開催中なんだ。 それで候補者の悪魔は人間の世界へ来て、契約者を決める。 それで、闘って勝ち残った人間のパートナーの悪魔が王になれるのよ」
「た、闘うのね……」
「そそ。 で、この辺でいっちばん、契約者として才能を持ってるのは誰かなって見てたら、暗子! あなたが一番優秀!」
サラッと下の名で呼ばれた。
私が優秀?
一度も黒魔術が成功した試しがないけれど。
「わ、私が?」
「そう! それにね、勝ったらね、あなたの願いも叶えてもらえるんだよ!」
「願い……」
「やろ! ね?」
「で、でも、闘うのは怖いわ…… 私運動神経ないもの」
「大丈夫だよ! 私いっちばん強いし。 それに降伏もできるし」
「そう……ねぇ」
「てか、そんなガチらなくて良いよ! 私そんな王に興味ないし」
「そ、そうなの?」
「そ、私は人間界で遊びたいの! だからね暗子、契約してほしいの。 それに願いだってあるでしょ??」
「願い…… 人見知り、人見知りを直したいわ……」
「なにそれ! 面白い!」
「そうかしら…… あっ。 そうだわ、く、黒魔術を教えてくれないかしら……」
「黒魔術?」
「毎回失敗してばかりなの……」
「うーん。 この魔方陣はさ、しっかり書けてそうだし、やっぱ生け贄とかじゃない? 鶏の血とか?
「私、血が苦手なのよ。 クラクラしてしまうわ」
カノは大笑いをして、ひとしきり笑い終えた後、私たちは契約を交わした。
私何かおかしかったかしら……?
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