ロスト・メモリーズ―聖夜の記憶―
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クリスマスの夜(1)
ーマーセル邸ー
「う~ん…」
「どうしたのラルス?浮かない顔して。」
俺は今悩んでいた。結婚もして幸せな生活を送る傍ら、家族としての記念行事の生活に悩んでいる…
「あ、いや…クリスマスの日、どうしようかなって。」
「夜はみんなでパーティを開くんでしょ?昼間はセリドと一緒に出掛けたら?」
そう言いたいところなんだけどよ…
「ぶっちゃけ言っちゃアレだけど、ここら辺あんまり連れて行ける場所ないんだ…」
「あら…」
こんなことで嫁のカトラに心配をかけたくないものだが…俺一人でどうにか解決できるものじゃない…
「クロウに連絡取ってみるか。」
「何でしょうか?ラルス様。」
「いやさ、クリスマスの日についてなんだけど…今からお前こっちに来れるか?」
「子供を置いていけと言うのですか?」
「……いえ、そうは言いません。」
あいつ(クロウ)も結婚して子供が産まれてからは大変な日々を送ってるな…最近じゃこっちに戻るのは玉にしかないけど…
「なんなら夫に任せるなり、子供連れて来るなりとにかくこっちに来てくれ。」
「人使いが荒いのは相変わらずですね。」
「そりゃどうも。」
ガチャン。
ー数分後ー
「失礼します。」
「結局子供連れて来たんかお前。」
しっかりと抱っこ紐にレイヴ乗っけてあいつはやって来た。
「それで、クリスマスの日についてとは?」
「あぁ、クリスマスの日にセリドをどこかに連れて行きたいんだが、どこに行けばいいのか悩んでてな。」
「他の世界に連れて行ってみては?別の世界の方がここよりも娯楽はありますし、セリド様にとっても良い刺激になるのではないのでしょうか。」
他の世界ねぇ…久々にあいつらに会いに行ってみるのも悪くはないが…セリドにとっては初めての別世界…何事も無ければいいんだが…
カン、カン
「誰だ?」
家の玄関のドアを叩く音が聞こえた。
「はーい、あらドメイクじゃない。」
「久々に子供達の面倒を見ようと思ってな。」
「やっぱ気になるんじゃねぇか。セリド達のこと。」
作戦会議(?)にドメイクも入り、より一層の案が得られるかもしれない。
「それで、お前はクリスマスの日のことで悩んでいるわけか。」
「あぁ、そうだ。」
「俺もクロウの意見に賛成する。やっぱり小さいうちから外に連れていく方がいいからな。」
即決…だな。
「分かった。セリドにとっては初めての別世界だから多少不安だが行ってみる。ついでに今までに会った奴らにも挨拶しときたいからな。」
「では、決まりですね。ドメイク様はどうしますか?」
「俺は少し世界をまわる。夜にはきっちり戻るから安心してくれ。」
「分かった。待ってるぜ。」
ークリスマス当日ー
「セリドー今日は別の世界に行くからな~」
「アッブッ!」
「それじゃ、行きましょうか。」
「最初は雄子の世界に行くか…」
ここ数日で会える人を考えたら雄子とセンしかいなかった。模音は今ロンドンに留学してるし、ミルケは結婚して子供もいるから邪魔は出来ない…その結果、この二人の世界に行くことになった。
「何かあったら私に伝えてください。ラルス様。」
「お前、レイヴはいいのか?」
「子供の面倒は夫が見てくれると言うので…」
きっとあの人のことだ。妻のクロウを気遣ってくれているんだろう。「息抜きしてきて」とでも言われたのか。
「それじゃ行くぞ!オタク少女の世界へ!」
ガチャ…
ーオタク少女の世界、秋葉原ー
「秋葉原に着いた…?」
「どうやら雄子様はまたここにおられるようですね。」
じゃあもしかしたら前にいたあの店に?
「とりあえず前に会ったあの店に行くか。」
ー中古ホビーショップー
クリスマスだからといってそこまで賑わっているわけではなかったが、あいつは確かに「そこに」いた。もしかして雄子はこの店の常連?
「久しぶりだな、雄子。」
「あ!ラルスくん!クロウちゃん!久しぶり!…とそちらにいるのは?」
「俺の嫁と子供。」
「えっ!?ラルスくん結婚したの!?ついでに子供まで…凄いなぁ…同い年には思えないや。」
「俺もまだまだだよ。ついでに言うとクロウも結婚して子供もいるぜ。」
「クロウちゃんもかぁ、みんなすっかり大人だなー!」
そう言う雄子こそ二年も経ってるからか、大人びている。それでも仮面ライダーなどへの愛情は尽きぬようだ。
「申し遅れたけど…私はカトラ。この子はセリド。雄子ちゃん、よろしくね。」
「うん!よろしくカトラちゃん!セリドちゃん!」
「ところで雄子はまた仮面ライダーの品を探しに?」
「そうだよ。ちょうど三日前に仮面ライダーの映画が始まってね、それを盛り上げるために色んな中古商品を買おうと思ってたんだ。」
仮面ライダーの映画…機会があれば見に行こうかな…
「俺達はクリスマスに子供を連れてどこか行こうとして話し合った結果、今までの世界をまわろうってことになってな。そのついでで雄子に会いに来たんだ。」
「なるほどね。それでどうする?またベルト買う?」
ベルトと言えば、あの時クロウが買ったやつ、未だ家に飾ったままなんだよな…確かオルタリングとかいうやつだっけ?
「でもまだちっちゃいからベルトとかはまだ早いか…ならこれどう?」
「仮面ライダーのぬいぐるみ?」
雄子が出してきたのは何か顔にでかでかとライダーって書かれてる仮面ライダーのぬいぐるみだった。
「まぁ確かにベルトとかよりはセリド喜ぶかな。」
「決まり!じゃあ買ってくる!私からのクリスマスプレゼントね!」
「は、はぁ…」
ここでなら「お代は俺が出す」とか言うべきだけど、何か出なかった。雄子の圧倒さに負けたのか?何か悪いな…
「セリドちゃ~ん、仮面ライダージオウだよ~!」
「ンーチャ!」
まぁ何はともあれそのぬいぐるみ、セリドは喜んでくれてるみたいだな。
続く。
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