ライクアローリングストーンズ

@Hayahiro

追悼

 彼らがあんなことになるなんて、驚きだよ。事故の後にすぐ、向こうのマネージャーから連絡をもらったんだけど、正直ショックが強すぎて、言葉が出てこなかった。それからも数日間、俺はまともな生活ができなかった。彼らは俺にとって、家族も同然だったんだ。

 けれど時間が経つにつれ、考えが変わっていった。彼らにとっては、こんな終わり方もありなんだよ。転がり続けてきた結果が、これなんだ。彼らはきっと、少しも後悔をしていないはずだ。

 俺も負けてられないって思うよ。こんな歳になっちまったが、また始めようと思っているんだ。彼らの意志を、勝手ながら継がせてもらうことにしたよ。

                            ――ポール・ラモーン――


 全ては彼らから始まったんだよ。彼らがいなければ、俺はこの世界に生きていないからな。その点では感謝をしているよ。しかし決して負けてるとは思っちゃいなかった。俺はまだ現役だ。これから彼らを追い越していくはずだったんだ。しかしそれも、叶わぬ夢になってしまったみたいだな。彼らは伝説になってしまったんだ。

                               ――矢崎 永吉――


 友達ではあるけど、影響は受けてないよ。だってそうだろ? 俺たちは同じ年にデビューをしてるんだからな。遠く離れてもいたし、音楽的にもまるで違う。俺たちはもっと自由だよ。彼らと比べられるのは、正直不快だね。彼らもそう思っているはずだよ。俺たちはまるで違う道を歩いているんだ。目指す地点が違うんだよ。フェスで顔を合わすのも、正直不快だったんだ。俺たちと彼の音楽を同時に聞かせるなんて、贅沢にもほどがある。どっちか一方で観客も満足なはずなんだよ。

 まぁ、彼らの音楽を間近で聴くのは、悪くないね。彼らもそう感じているようだね。俺たちのライブをいつも、最後まで観て、楽しんでくれていた。

                       ――ノーウェア・マン 坂上 武――


 向こうで武と仲良くやってると思うよ。あいつらは仲がいいからな。インタビューではお互いに色々言ってたけど、尊敬し合っていたよ。影響がないなんて嘘だよ。あいつはいつも言っていたんだ。いつか一緒にアルバムを作りたいってね。今頃一緒に曲作りでもしてると思うよ。どんな作品が仕上がるのか、楽しみだね。

                      ――ノーウェア・マン 今井 賢治――


 また一つの時代が終わった。彼らの死は、ショックだよ。それだけだ。

                             ――W・A・ガンズ――


 ロックを復活させたのは彼らだ。彼らの死とともにロックも死んでしまった。

                            ――ジョン・ディラン――


 あれからもう三年が経つ。僕にはまだ信じられないんだ。彼らの音楽は今でも街に溢れている。この世にいないなんて嘘だよ。彼らは永遠に生き続けている。

                          ――ジョージ・スターキ――

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