逃走と追走
マフィコン
ep.1 俺は未だに逃げられない
「アキ君!おはよー」
「げっ…小春かよ」
「げっ…って何よ!会えて嬉しくないの?」
「うん。そんなに…」
「な、何でそんな事言うのぉ……うわああん」
小春は両手で顔を隠し、泣き喚く。俺は溜め息を吐きながら嫌々に慰めるように小春を抱く。
すると、小春の泣き声が段々と小さくなり、頭を撫でると泣き止んでいく。
このように小春は俺に抱かれると落ち着くので泣けば抱くという一連の動作は癖になってしまった。
「はぁ……ガキじゃないんだし、すぐ泣くな」
「だって!アキ君が酷い事言うから」
「ったく……………すまん。許してくれ」
ここは、一応謝罪する。何故ならば、これ以降下手に何か言えば、より面倒な事になるだけだ。
泣き叫ばれたりなんかしたら俺に非難の目が向けられる。そういうのは本当に回避したい。
「じゃ、早く学校行くぞ」
「う、うん。………手は?」
「昨日、繋いだろ。今日は繋がん」
「い……嫌だ!繋ぐ!」
すると、強引に俺の手を握る小春。無理矢理にでも剥がそうとしたが、ぐっと堪える。
ここで剥がせばまた泣くんだろうしな…。
そうして、学校に着いた。
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