第9話 ゴブリン襲来

 翌日、オレは騒がしい音と共に目を覚ます。


「なんだ……?」


 何やら庭の方が騒がしい。というよりも声が聞こえる?

 まさか、人!?

 驚いたオレはベッドから飛び起き、窓を開けて二階のテラスから中庭を見る。

 すると、そこには予想外の生き物がいた。


「ゴブっ!」

「ゴブゴブ!」

「ゴブーっ!」


「な、なんじゃありゃー!?」


 そこにいたのは体長およそ一メートルくらいの全身緑の人型の魔物。

 手にはそれぞれ剣、斧、弓などを持っており、数はおよそ七、八体。

 も、もしかしてあれが噂のゴブリンというやつなんだろうか?

 初めて見る異形の生物にオレは思わず驚く。


 すると、オレの叫び声に気づいたのかうち一体が上を見上げ、二階にいるオレと目が合う。


「ゴブ! ゴブゴブ!」


 そいつが何やら叫ぶと手に持った弓を構え、オレのいる方に矢を放つ。

 ひ、ひえー!?

 慌てて部屋の中に隠れ窓を閉めるが、テラスの方へ容赦ない数の弓矢がドンドン放たれる。

 しかも、それだけではなく玄関までやってきたゴブリン達は扉を開けようとするが鍵が掛かっているのに気づくと手に持った武器で明らかに扉を壊すような音を立てる。


「ゴブ! ゴブっ!」


 一階からバキバキと扉に鈍器がぶつかる音が聞こえてオレの心臓が高鳴る。

 や、やばい!? あの扉、結構頑丈だったけど、あんなに攻撃されたら、いつか壊れる!

 しかもオレは見ての通り、ただの一般人だから、武器を持った魔物になんか対抗出来ない。ど、どうすれば!?


 この世界が異世界であることを失念していたため、思わぬ魔物の襲撃に混乱するオレであったが、その時テーブルにつまずき、その上に置いてあった財布が地面に落ちる。

 財布……。お金……。そうだ! 神の通貨!

 オレはすぐさま財布からお金を取り出す。

 ええい、緊急事態だ! 今は一円とかケチっている場合じゃない!

 オレはすぐさま百円玉を掴むと、目の前に放り投げる。

 イメージは『強い武器』!

 あいつらを一瞬で蹴散らせるような最強の武器!


 すると目の前で百円玉が消えると同時に、そこには光り輝く荘厳な剣が生まれていた。


「お、おおー!」


 光り輝く刃はもちろん、柄などかなり凝ったデザインであり見るからに『伝説の聖剣』と言わんばかりの武器であった。

 か、勝てる! この武器ならどんな魔物が相手だろうと!

 オレはすぐさま地面に落ちているその武器を拾おうとするが……。


「ふ、んっ! ぬ、ぐ……っ! あ、あれ……? も、持てない……!?」


 予想外。剣が重くて持ち上がらない。

 いや、何センチか持ち上げることは可能なんだが、あまりの重さに振り回すとか、とても無理であった。

 な、なんてことだ。伝説の聖剣を作ったはいいが装備できない!?


 いや、でも考えてみればそうか。

 こういう伝説の武器とか、それ相応の使い手でなければ使いこなすなんて無理だし。

 武器を持ったこともない一般人のオレが、そんなすごい武器をすぐに使えるわけがなかった。

 思わぬ落とし穴に頭を抱えるオレ。

 き、貴重な百円が……!


 と、そんな間抜けなことをしているうちに一階の玄関から派手な音がする。

 何事かと慌てて部屋を出て二階から一階を見ると、そこには先ほどのゴブリン達が豪邸の中に侵入している姿があった。


「ゴブ! ゴブゴブ!」

「ゴブブ!」

「ゴブ、ゴブブッ」


 それぞれに武器を構え、何やらいやらしい笑みを浮かべ豪邸の中を物色するゴブリン達。

 無論、その手には武器が握られている。

 や、やばい! ぜ、絶対絶命だ!

 オレはすぐさま部屋に戻り、内側から鍵をかける。

 が、しかし、一階を探し回るゴブリン達はすぐさま二階にいたオレのことを思い出したのか次々と二階への階段を上がり、そこにある部屋を一つ一つ開けていく音が聞こえる。

 

 まずいまずいまずい!

 神野透、絶体絶命のピンチです!!



残り通貨:13621円

【創造物】

豪邸×1

村×1

野菜畑×1

りんごの樹×1

魚達がいる川×1

動物達の森×1

聖剣×1

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る