第4話 豪邸を作ろう②
「魔力を宿した家具ってなんだろうか」
豪邸の説明を見た際、そこには『一部の家具には魔力が宿る』と書かれていた。
まあ、ここは異世界であるなら、魔法や魔力といった不思議な現象があってもおかしくはないだろう。
かくいうオレもそうした魔法といったものはアニメや漫画、小説などで色々見てきたので、実際にそれを見てみたいという衝動はあり、できれば自分も使ってみたい。
そう思い、豪邸の中に入り家具の一つ一つを確認していくとそれらしいものを発見した。
「あ、ひょっとしてこれか?」
それは台所に設置された奇妙な宝石であった。
青色の宝石が流し台のようなところにはめ込んであり、そこには『水魔石』という文字が端に出ていた。
オレはすぐさまその『水魔石』という文字をタップする。
【水魔石】
水の魔力を宿した魔石。念じるだけで石に宿った魔力が魔石に宿った属性を生み出す。
この魔石は『水』の属性を宿しているため、手を触れて念じるだけで水を引き起こす。なお、貯蔵された魔力が切れた際、魔石は光を失いただの石となる。
なるほど。そういうことか。
オレはすぐさま手を出し、その宝石に「水」と頭の中で念じる。
すると宝石から水が溢れてきてオレの両手を洗ってくれる。
おー、こりゃ便利だ。
この魔石があれば、わざわざ井戸から水を汲みに行く必要もないな。
とはいえ、あまり使いすぎると中の魔力がなくなって、ただの石になるみたいだからな。なるべく節約しながら使うか。
なお水は手を一定距離離すか、「止まれ」と頭で念じると止まるみたいだ。
その他にも同じく台所に『火魔石』と呼ばれる物が設置されており、こちらも『水魔石』と同じく念じると火を起こす魔石であった。
これらは調理の際に使用するもののようだ。
なお、風呂場にも同じく『水魔石』と『火魔石』が合わさったものがあり、それでお湯を出し、浴槽を貯める仕組みのようだった。
その他にもシャンデリアや、天井に取り付けてあった魔石にも『光魔石』という名前があり、こちらも『水魔石』『火魔石』と同じように魔力を消費して、光を生み出す魔石のようだ。
この豪邸に関しては、これら魔石を使って地球にいた頃と同じような生活が出来るようだ。
とはいえ、魔石も消耗品であり、使いすぎると電灯やガスコンロと同じで寿命が来るみたいだから、その前に魔石を日本円で作る実験をしておいた方が良さそうだ。
いや、待てよ。
この魔石がこの世界における電気やガス、水道の代わりになるというのなら、これら魔石がある土地がどこかにあってもおかしくないのでは?
それともこれはオレが『神の通貨』で作ったから生まれたものなんだろうか?
うーん、あの神様曰く、この世界は七割しか出来ていないと言っていたからな。
でも逆に考えれば七割はできているというわけで、この世界特有のそうした魔法のアイテムがどこかにある可能性はやはり高いのでは?
ここらへんも後々調べた方がいいかもしれないな。
「とりあえず、住む場所はこの家でいいとして次は食料の問題か……」
正直、あの豪邸にオレひとりで住むのもあれだが、問題は食料である。
いくら住む場所が快適でも食べ物がなくては生きていけない。
なので次は畑を作ってみようと思う。
これも神の通貨の説明欄にはなかったが、おそらく可能なはず。
使うお金は……まずは試しということで1円でいいか。
そう思って財布を開くオレであったが、
「あれ?」
そこにあった小銭の数は745円。
つまり五百円玉が一枚と、百円玉が二枚、さらに十円玉が四枚で、五円玉が一枚である。
一円玉がもうない。
そうか、さっきので手持ちの一円玉は全部使ってしまったのか。
しまったー。となると、最低の金額でも五円玉を使うしかないのか?
そう思いながらオレは茶色く穴の空いた五円玉を見つめるものの思わず「うーん」と唸ってしまう。
畑に五円というのも、ちょっとチャレンジが強い気もする。
しかし、今のところまだお金には余裕があるので五円くらいならいいかも?
いやいや、それが案外後に響くかも……。
などと唸っていた時、ふと手に握った五円玉に奇妙な文字が浮かぶ。
はて、これは? と覗くと、そこには意外な文字が書かれていた。
『両替可能』
残り通貨:13745円
【創造物】
豪邸×1
村×1
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます