サキのことパート2

「あんたって本当に最低だよね…。」

 美晴が呆れた口調で言う。あまりの酷さに最早怒る気力すらないらしい。

「もういいわよ、わたし達はサキとは金輪際関わらないから。」


 奈央が突き放すかのような口調で言うがサキはお構いなし、寧ろ清々したとでも言うような口調で言い放つ。

「それで良いわよ、明日美共と関わってイライラしているから放っておいてくれた方が嬉しいわよ。

 それにあんた達あの時のことどんだけ根に持ってる訳?」

 そう言いながら傷んで艶の無い茶髪をバサッとかき上げる。

「そりゃ根に持つに決まってるわよ。わたしに、美晴ちゃんに、明日美ちゃんに、里沙に、裕太に、一翔君に、五郎君に、九郎君にとてつもなく酷い事をしたあんた達の事なんて例え一生掛かっても許せる訳ないじゃない。」

 そんなサキに対して奈央が言った。それを聞いた美晴、里沙はただただ感激する。自分達の事をそこまで思ってくれていたのだなと。



「あーあアンタ達と関わって損した。あのブサイク女とブサイク男五人組にムカついて今度はアンタらみたいな地味なブサイク女四人組にムカついてもう散々よ。」

 自分の思い通りになってくれないとすぐに人をブサイク呼ばわりするサキに誰もが呆れるばかりだ。


「もうアンタ達のおかげで化粧が崩れちゃったじゃないの。」

 と言いながら手鏡を片手に口紅を塗り直す、こんな状況でも平気で化粧をするような図太さに誰もが呆れて声も出ない。


「は?アンタ達何ジロジロ見てんの?そっかぁ~ブサイクだからアタシのこと妬んでるんだ〜」

 意地悪そうに笑うサキに里沙が一言。

「余計なお世話だと思わせたらごめんなさいね、ひょっとしてあなたって自分の顔を鏡や写真で見たことが無いタイプです?」

 里沙の口撃をモロに受けたサキが真っ青な顔をして後ずさる。

 そして何処かへと走り去って行った。



「もう一体どうなってるのかしら?あそこまで性格の悪い人、見たことないわ。」

 奈央がやれやれと言う口調で喋る。

「なんでサキはあんなに性格が歪んでいるのかな?人の気持ちが考えられないのかな?

 人の悪口ばっかり言いふらして楽しいのかな?」


 美晴がやりきれないと言う気持ちを表す。

 実際に里沙や奈央、美晴もサキやその取り巻きにある事ない事言いふらされて大変だったし、明日美なんかサキやその取り巻きに悪口を言われるは勿論、日々激しい暴力を振るわれ怪我させられた。


 裕太、一翔は散々悪口の出汁にされていたし、季長、義経の言われようは相当なものだった。

 義経に至っては江戸時代の二次創作(結構酷い話)を完全に持ち出してそれを周りに言いふらして彼が周りから悪く言われるのを面白がっていた。

 オマケに悪評をいいふらすだけじゃ気がすまなくなったサキ達は、4人にまで散々酷い事をしていたのだ。


「わたしにはサキが分からない…。なんである事ない事言いふらして面白がるのかな?

 なんで人を貶めて楽しむのかな…」

 やりきれないよとでも言うように零す美晴を里沙がそっと抱き寄せる。

 奈央はその様子を複雑な表情で眺めていた。

 今までが今までなので奈央は内心もう完全にサキを見限っていた。



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