詞戦いその3

「あら?どうしたのですか?もう何も言えなくなったのですか?

 あれだけ偉そうにしていた割には案外弱いのですね。」

 里沙が相変わらずお淑やかな口調で喋るがその口調には反して言葉には毒が含まれている。

「なんだと?このガキ!!」

 怒り狂いながら罵声を上げるおじさんに対して奈央が一撃を喰らわす。

「あら、さっきから汚い声が聞こえるけれど気のせいかしら?」


「なんだと!?このメスガキ!!お前みたいなクズ、生きてる価値なんてねーんだよ!!」

 地団駄を踏んで声を荒げるおじさん達に奈央が涼しい顔で口撃。

「あなたって自分の事を思いっきり棚に上げて人を貶すのがお好きなようね。

 で、一番クズでゴミで生きている価値がない人間はあなた自身だってあなたはお気づき?」

 そう言われたおじさん達は今にも泣きそうな顔で震えている。

 今にも泣き出しそうなおじさん達は苦し紛れに一言。

「なんで、人を三人殺しただけでそんなふうに言われなきゃならねーんだ!!

 俺は間違った事はしてねー!」

 その一言に奈央の様子が一変、彼女の瞳の奥が怒りに燃えていた。

「どんなに酷いことをしても自分は間違ってないって言い張るあなたに一言。

 あなたの存在自体が間違ってるわよ。」

 奈央が低い声で凄む、おじさん達は再び俯いてしまう。

 そんな中、おじさん達は突然しゃくり上げ始めた。

 嘘…コイツら泣いてる!?

 そしておじさん達は泣きながらわたし達に怒鳴り散らす。


「うるっぜぇ!お前たちみたいなバカでアホでクズなガキと若造なんかに俺らの気持ちは分かんねーよ!!」

 泣きながら怒るおじさんに向かって裕太が口撃を喰らわす。

「へえ、俺達に向かってアホでバカでクズって言えれるんだ。

 一番アホでバカでクズな奴にそんな事を言われたって痛くも痒くもねーよ。

 それとも自分で自分の事をバカでアホでクズですって自己紹介したのか?

 自己紹介しなくてもお前がバカでアホでクズなことは俺達分かりきってるからな。」

 そしておじさん達に言い返す暇も与えずに義経が更に口撃を喰らわす。

「なんだ哀れで無様な小物の戯言か。」


「正しく傷口に塩を塗るね…。」

 その様子を見ていた友里亜さんが美晴の隣で零す。

「おじさん達、ちょっと可哀想…。」

 美晴が誰にも聞こえないくらいの小さな声で言った。

「どうせ、俺らは誰からも大切にされてないんだ!!

 もしも俺らが死んだらあいつらはやっと俺らの大切さに気がつくんだ!!」

 おじさん達は泣きわめきながらそんな事を口走る、最早言っている事が支離滅裂だ。

 そしてそんなおじさんに向かって一翔が容赦なく言い放つ。

「いえ、あなたみたいな人が死んだって誰も悲しまないと思いますよ?」

 そしておじさん達が何か言おうとしているのに構わないで義盛と季長が口撃を仕掛ける。

「逆に何故そのような考えになるのか教えて頂きたい。

 まあ、そのような貧相な頭の持ち主に教えを乞うても無駄か。」

 口達者な義盛らしく、かなりキツイ毒を吐いているみたいだ。

「哀れで惨めな男の独り言など聞き飽きた。」

 季長がおじさん達をバッサリと言葉の刃で切り捨てた。

 散々口撃を喰らいまくったおじさんはぱっと顔を上げるとわたし達に向かって一言。


「俺たちを怒らせた事を後悔させてやる!!俺たちはなあ、今全身の毛が逆立つ程に怒っているんだ!」

 そう言っているようだけれど顔は涙でぐしゃぐしゃなのでその姿はかなり滑稽に見える。

 そんなおじさん達に向かって明日美が一言。

「全身の毛が逆立つ程怒ってるの?逆立つ毛なんて大してない癖に…うふふ」





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