避難所到着
「うわあぁぁぁぁん、怖かったよお。」
美晴ちゃんは怖かったらしくなかなか泣き止まない。
「もう大丈夫だよ。」
わたしがそんな彼女を優しく抱き締める。150センチにも満たない小柄な体はすっぽりとわたしの腕の中に収まってしまう。
美晴ちゃんは6人の中で一番背が低く、力も弱いから、守ってあげなきゃいけない。
「おいおい、もう終わったんだからそんなに泣くなよ。」
祐太がそんな彼女を見て言う。終わったとは言っても、ナイフを突きつけられたら普通はこうなるだろう。
ナイフ男をみんなが恐れていたなか、平気な顔をしていたのはあの場で彼らだけだ。
しかもナイフを持った相手によく毒舌を平然と披露できたものだ。
「祐太君達って意外と毒舌なんですね。」
泣き止んだ美晴ちゃんがわたしにボソッと言ってくる。
事件に巻き込まれながらも、一体どれだけ歩いたのだろう。
Googleマップではあと5分と示されていた。
「もうすぐ着くよ、この先右に曲がって真っ直ぐ。」
わたしが案内する。
そして、右に曲がったら数百メートル先に立派な建物が見えた。
これが避難所だな……。
避難所の入口に奈央達が立っているのが見えた。
わたし達が一番最後かあ……。
入口に行くと里沙ちゃんが
「遅かったわね。」
と一言。
わたしの代わりに美晴ちゃんが答えた。
「仕方ないよ~わたしと明日美ちゃんと祐太君達ばかり事件に巻き込まれるんだもん……。」
でも今回の件で負担がすごかったのは間違いなく祐太達だろう。
一体、平屋に忍び込んだ時にどんな凄まじいものをみたのだろう?
あの血生臭さからして相当ヤバそうだけど。
「殿~心配しましたよぉ~。」
佐藤兄弟に伊勢君がこちらにくる。
「すまない。」
義経が一応謝ってるけど、全然すまなそうには見えない。
「あんた、一体何してたの?」
お母さんがあきれ口調で言う。
どうやらわたしらは相当遅かったみたいだ。
「いろいろ巻き込まれちゃって……。」
わたしがシドロモドロになりながら言い訳をした。
もう、なんでわたし達6人がこんなひどい目ばっかりみるの!?神様の意地悪!!と密かに思った。
そして、みんな揃って避難所の中に入った。わたし逹の場所は一番端っこの壁際。
しっかり人数分確保されていた。
「もう、明日美達が遅いから勝手に場所を決めたわよ。」
お母さんが申し訳なさそうに言った。結構いい場所なんだけどな……。
「あと、祐太君、一翔君、竹崎君、源君、明日美が迷惑かけたわね、本当にごめんね、そしてありがとう。」
お母さんが四人に感謝の言葉を述べると四人は少し躊躇っていた。
ーなんか可愛いかもー
「それより、なんで美晴ちゃんはあの時外にいたの?」
わたしが美晴ちゃんに質問すると、彼女は事を詳しく語り始めた。
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