ラブボランティアラストヴァンパイア
長月 有樹
第1話 ケンタッキーで白米食べれるもんなのか?
大事な話があると家族団らんの最中にお父さんが神妙な面持ちで口を開いた。同時に私はそこそこの好物であるケンタッキーフライドチキンの骨付きチキンを齧りつこうとしていたが口を閉ざした。ケンタッキーで白米を食べれるブロンド美女とは、私の事。野崎利百合菜の事である。そして、今日はご馳走だからとケンタッキーを始めスーパーのパック寿司が並べられて明らかにお母さんが手抜きをしてる事を見て見ぬ振りもできるブロンド美女JKとは私の事だ。
「……あのな百合菜」
お父さんの口は重かった。あまりに次の言葉を切り出すのが躊躇われたのか何故だか眼鏡を外す。眼鏡を外したお父さんはかっこよくて好きだ。少し薄くなったけど、まだまだ健在な髪の毛。最近は白髪が混ざりだしてる。部屋着という概念が無いのか、寝間着に着替えるまではシャツにチノパン、セーターをキメてる。ブルックスブラザーズがお気に入り。そんなお父さんが好きだ、幸薄そうで。
次の言葉がまだ出てこず仕舞いにはメガネのレンズをふきだそうとしてたので、なぁに?お父さんと私が尋ね後押しをする。
「……実は、お前ハーフなんだ」
真剣な眼差しなお父さん。テーブルへと目を伏せるお母さん。そんなシリアスてんこ盛りな食卓で切り出された言葉は余りにも間抜けで拍子抜けした。たぶん私は教科書通りのズッコケをできたので無かろうか?と思う。
「……え?そんだけ」
やっとこさ口に出せたのがこの言葉。内心イヤイヤイヤ、知ってるから!分かってるから!!つかお母さんブロンドじゃん。目が透き通るくらい青いじゃん。どっからどう考えても分かるじゃん?……そんな今更とかなり良い感じのビートで言葉が溢れてきていたが、それも吐き出せなかった。
ずっこける私。真剣に見つめるお父さん。目を伏せながらパック寿司のエビへ手を伸ばすお母さん。その三すくみの状態は、かなりおかしく私は笑いだそうとした時、お父さんが言葉を続ける。
「お前は人間と吸血鬼のハーフなんだ」
「えっ……ヤバァ」
と脊髄反射的にヤバァと言ってしまったが、想像以上にというか私の脳内メモリのメーターが一瞬で振り切れてしまい良い感じのリアクションをするまでにこの後、5分の時間を必要とした。お母さんはウニへと手を伸ばした。
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