第2話

「あれ・・・今の君の声かい?」


バレー部員が恐る恐る聞く。


「そうですが?」


少年は低い声で答える。


「やっぱり君の声か! 違う人の声かと思ったよ。可愛い顔してなかなかの渋い声じゃないか!」


バレー部員は疑問が解けると晴れやかな顔になって自分が思ったことを言った。


「どうも・・・」


「君がいたなら声かけのクオリティが上がるな! どうだいうちに来ないかい?」


すかさずバレー部員は勧誘をする。


「遠慮しておきます・・・」


少年の心の声はなんだその理由・・・、と言っていた。


「そうか・・・まあ気が向いたらいつでも入部しなよ。待ってるから!」


バレー部員はそう言うと足早に帰っていた。


「あっ・・・」


少年は何か言おうとしたが言おうとした時にはもうバレー部員は離れていってしまった。


少年の名前は浜谷 智春(はまや ともはる)。


茅咲高校に通う一年生だ。


中学三年生の頃にある出来事がきっかけで異常に声が低くなってしまったのだ。


そのせいでちょっと話をするだけで周りがどよめくのだ。


浜谷(はまや)は低い声に反応するバレー部員の事を思い出しため息をつく。


「はあ・・・何でもこんな目に遭うんだろうか・・・」


そんな独り言を言った時に後ろから声が聞こえた。


「それは私と出会うためだ・・・なんてね。」

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