幼なじみと不器用なわたし

@Lich_Jun

第1話

「ーー...ーろ、...起きろ、空田!!」


窓際、一番奥の席。

ぽかぽかとお日様の光が当たり少し開かれた窓の隙間から緑になり始めた桜の香りが舞い込む。


そんなお昼寝日和に...わたしは眉間に皺を寄せ、やっとの思いで重たい頭を持ちあげる。


するとそこには苛立った様子の担任、みっちーこと田中道春が腕を組み仁王立ちでこちらを見ていた。


「ふわあぁ...あ、みっちー...おはよー...」


まだふわふわとする眼を擦りつつあくび混じりにそう言うと周りの生徒が「くすくす」と笑いをこぼし始めた。


「お前な...今日は始業式だけなのに居眠りして...他に言うことはないのか?」


対するみっちーはため息混じりにそうこぼすと生徒名簿で軽くわたしの頭を叩いた。


「言うこと.....」


わたしは少し考え「ああそうだ...」と思い出したように


「今の生徒虐待ですよ」


と口にした。

途端にさっきまで微笑をこぼしていた生徒達はどっと吹き出し、当のみっちーはわなわなと肩を震わせた。


「はあ...もう言い、座れ。ほら、皆も静かに!さっきの続きだけどーー」


みっちーはそう言いながら「空田はしっかり聞いておくように」とわたしに釘をさし、教卓に戻っていく。


はてさて、どうしたものか。


もう一眠りしようか...と灰色がかった天井を仰いでいると、ふとこちらに向けられている視線に気づいた。


わたしとは反対側...廊下側の一番奥の席。

チラッと見やるとこちらを見ていた彼と目が合い、咄嗟に天井へと視線を戻した。


最後に横目で見た彼は首を傾げながら配られたプリントに目をうつしていた。

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