メビウス

満月 兎の助

愛しのヨリコ



 見たくない。

 キミのこんな姿態、見たくないのに……まばたきすら忘れて見入ってしまう。


「ん……っ、……ねえ、もう……」


 彼女がボクを待ってる。早く、と催促する。

 ──反吐がでる。


「意地悪しないで……もう、来て……」


 こういう時の妖艶な微笑みに打ちのめされて。普段の何気ない仕草や横顔が綺麗すぎて。

 そのせいでボクの世界は、キミ一色に塗り替えられてしまった。


「ねぇ……名前、呼んで」


 普段は勝気なキミが、この時ばかりは濡れた子犬のように情けを乞う。頂きをみる刹那、必ず名を呼んで欲しいと切なげに喘ぐ。


「依子……」


 ヨリコ……


「ああっ……!」


 キレイなヨリコ。ボクのヨリコ。

 憎くて愛おしい、キミは最高の……売女ばいただ。






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