その2 三銃士ポントスの脅威

「ふふふふふ。この筋肉の輝きを恐れぬのなら、かかってこい!」


「知佳、ちょっと時間を稼いで。20秒でいい」


「わかった」

 知佳は魔法杖を振りかざす。

「本来の私の魔法行くよ。簡単だけれどただただ強い強風!」

 確かに無茶苦茶強烈な風がポントス先輩を襲う。


「甘いわ!筋肉の力を借りて、今必殺の、マッスル・アタック」

 じりじりポントス先輩が迫ってくる。

「まだまだ、もっと凄い強風! 風速六十メートルモード!」

「なんの!」


 そんな戦いをやっている中で翠さんは俺に言う。

「今の私と知佳の魔法では、残念ながらポントス先輩に対抗できないわ。だから私もちょっと賭けてみる」


 え、これはひょっとして。

 翠さんは俺とそこまで身長は変わらない。

 その彼女の腕が俺の首に周る。

 そして翠さんはちょっと首を傾げるような角度で……


 唇が触れただけでは無かった。

 中から舌が侵入してくる。


 翠さんは確かに本来俺好みの体型じゃない。

 身長もそこそこあるし胸もしっかりある。

 普通の女子高生体型で、かつ顔もどちらかと言えばお姉さん系。


 でも知佳の抑え役として色々世話にはなっているし嫌いじゃ無い。

 実際ロリじゃ無くても幸せになれるかなと今ちょっと思ってしまう程には。

 彼女の舌が俺の口腔内を這い回って俺の舌と絡む。

 イヤらしいキスだ。


 だがそれだけでは無い。

 彼女からもまた何か力が俺に流れ込んでくる。

 魔法を使えるようになった俺にはわかる。

 これは翠さんの水属性の魔力だ。

 それは俺の心臓近くにある賢者の石へと届いて……


「ふうっ」

 翠さんはやっと唇を離した。


「やっぱり吸い取られるわね。キスでももう立っているのがやっとな位。これで性交でもしたら本当死んじゃいそう。それでも気持ちよさそうで試してみたい位だわ」

 いや、魔力関係無く吸い取られそうなキスだった。

 どっちかというと俺の方が。


「翠、そろそろ限界、次の指示は!」

 知佳の必死な声。

 戦闘に集中していて今の状況を見ていなかった模様。

 でももう大丈夫だ。

 水の魔力を得た今、俺は新しい魔法を使えるようになった。


「水魔法!透明の水スケルトン・ウォーター

 俺の魔法ががポントス先輩を包む。

 同時に魔力が切れかけた知佳がふらっと姿勢を崩した。

 思わず左手で支える。


「ん、大丈夫。でもまた新しい魔法を憶えたんだね」

「ああ」


 一方、透明の水スケルトン・ウォーターに包まれたポントス先輩。

「うむ、コレくらいは。サイドチェスト!」

 横方面の筋肉を魅せるポーズで何とか首から上と腕の透明の水スケルトン・ウォーターを弾き飛ばす。

「効かぬぞ、こんな簡単な水魔法等!」


「本当かな」

 俺はにやりと笑う。

「お前はもう、けている!」


 透明の水スケルトン・ウォーター第一の特長。

 それは服に付着して透け透けにしてしまう事である。

 だからもうポントス先輩は全身もう透け透け。

 筋肉がもう全身露わな状態だ。

 残念ながらやっぱり俺の好みの身体じゃないけれど。

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