その3 かくして魔女と空を飛ぶ
彼女に手をひかれるまま歩くと専門教室棟の1階に出た。
そして彼女は階段を登り始める。
「おいおい何処に行くんだよ」
「屋上。昇降口から出るルートは危険だからね。あと蒼生の靴は持ってきたから安心して。上履きは袋に入れて明日持参という事で」
何で屋上へ行くんだ。
「細かい事はあとで説明するけれどね、蒼生は狙われているの。向上心旺盛な魔女の皆さんからね。今のもあと一秒遅かったら折角生き返ったのが台無し、ってところだったんだよ。
何ならお礼に一発やってくれてもいいかなと思うよ。でもまだタンポンも入れるの怖い状態だから最初は優しくしてね。痛いのは苦手だから。あと避妊しないで出来ちゃったら責任はとってね」
どこまで本気かまるでわからない。
知佳らしいとは思うけれど。
「それで屋上というのは」
「魔女は空を飛べる、常識でしょ」
そういう常識は通用するのだろうか。
色々わからないまま屋上の扉前まで到着。
知佳はちいっ、と舌打ちをする。
「先回り、二人か。まあ大した事は無いかな」
そう言って扉を開け、外へ。
知佳の言う通り、屋上には女生徒が二人いた。
バッチからすると二人とも二年生だ。
「その男が賢者の石か」
右の女がそんなわからん事を言う。
「人をアイテム扱いするんじゃない!」
「お前もその手のひとりだろう」
「蒼生は私と清く正しくやらしい高校生活を送るの!」
取り敢えず知佳を信用するしか無いなととっさに判断する。
この変人に運命を委ねなければならないというのもなかなかな状況だけれども。
「まあ蒼生は黙ってそこで見物していて。なんなら私でやらしい妄想してもOKだよ。私が気絶するまでは魔法で保護かけているから誰も手だしできない」
余裕綽々なのか単に地がそうなのか。
そんな訳わからない事を言ってから知佳はふっと右手を振り上げる。
いつの間にか杖がその手に握られていた。
「さあいらっしゃい子猫ちゃーん。後からでも前からでもOKだよん」
前の二人は同時に動いた。
両方とも杖を高く振り上げてそれぞれ叫ぶ。
「
「
白い光がそれぞれ知佳を襲う。
いや、襲っていない。
知佳の前二メートル位のところで抑えられている。
見えない何かの壁が立ちはだかっているようだ。
「うん、幼稚園の時に初恋ついでにBまでしちゃったくらい甘い魔法だよ。その甘さに免じて軽ーいお仕置きで我慢してあげる。召喚!
どばっと二人がピンク色の塊に覆われた。
見ると異様にぶっとく長いドバミミズがうじゃうじゃという感じだ。
見ているだけで吐き気がしそう。
俺は目を背けた。
「蒼生、もう大丈夫だよ」
俺の方をそう言って見る知佳と、背後で悶えるピンクの塊。
「でもアレ、なかなか酷くないか」
何かうめき声まで聞こえてきた。
「大丈夫、調教済みだから処女膜を破らない程度で色々やる程度。まあ服はぬとぬとねとねとになるけれどね。あと当分は色々な刺激に敏感になるかな。まあいい薬だと思うよ。
それとも蒼生、蒼生もアレをやってもらいたい?」
俺はぶんぶんと首を横に振る。
「残念だな。なかなか気持ちいいらしいよ。まだ女の子でしか試していないけれど」
伝聞形であるところに微妙に疑問を感じた。
「つまり自分では試していないと」
「当然よ怖いもん。でも蒼生は私の肌もあそこも試してくれてOKだよ」
この状況でそういう事を言えるのか、お前は。
「まあ取り敢えず移動するよ。詳しい話もした方がいいだろうし」
知佳がそう言って右手を大きく振る。
得物が杖から色々くっついた怪しい棒へと変わった。
赤色で
ついでにダブルシート仕様だ。
「飛行専用箒、NR750。ちょっと古いけどまだまだ最速!おまたへの振動も気持ちいい傑作箒だよ」
何だそれ。
「飛行専用箒って何だよ、言葉が矛盾していないか」
「魔女は箒で飛ぶものなの!いいから後に座って、つま先は足用の輪っかに入れて」
色々よくわからないが言われたとおりにする。
俺の前に知佳が同じように座った。
「発進!」
ふわっと俺達は飛び立った。
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