第167話


ザーニから『昨日のその後』を聞いた。

流石に『金板&銀板を相手にする店』で働くために、従業員全員には『身元保証人』がいる。

青髪の女が『犯罪者』として捕われたため、身元保証人も罪を問われた。

そして『芋づる式』に様々な犯罪が暴かれたため、更に罪状が重くなったらしい。

・・・そういえば『自白魔法』をかけたままだったな。

あれは『最長で半日』したら自動解除される『期間限定魔法』だから、もう解除されているだろうけど・・・


そういえば青髪の女は、あの時大人しく連行されて行ったけど?

『捕縛用』の魔法でもあるのだろうか?

そう聞いたら、あの時の彼女は『虚偽』と『窃盗未遂』で捕まった。

そのため『説教を受けたらすぐに自由になれる』と思っていたらしい。

しかし取り調べでも『自白魔法が継続中』だったため、『今までの犯罪』から『今回の給料泥棒』に『肩布の強奪作戦』などの計画をすべて話してしまった。

その『計画』では、給料未払いでザーニの『信用』を落とし、私の肩布を強奪してザーニに罪をなすりつけて『期間奴隷』にして店から追い出したら、自分の『身元保証人』が『オーナーになる』予定だったらしい。

しかし、私には警備隊長が付いていたため『強奪作戦』は未遂で終わった。


・・・だからハンドくんたちが『警戒態勢』を取ってたんだね。


結果。関係者すべて捕縛。

身元保証人の家族も犯罪を知りつつ『甘い汁を吸っていた』ことが判明して全員が罪を問われて『犯罪奴隷』となった。

唯一、家業を継がずに他の町で自立していた息子だけが残された。

『盗品を他の町に住む仲間や家族に送って換金する』ことがよくある。

そのため、息子の住む町に通信で連絡が行き、鑑定石で取り調べを受けて『無関係』と証明されて釈放。

しかし『家族全員が『犯罪奴隷』となった』ことで、職場はクビになり町を出て行った。

日本でいう『経理』を担当してたようで、信用を失えば職も失う。

彼は今後『荷役夫にやくふ』という肉体労働者か、『冒険者』になるしか道はない。


家族が罪を問われれば、関係のない家族の賞罰欄に『家族が何の罪状で『犯罪奴隷』になったか』が表示されるって以前教わったっけ。

それによっては職も失うって言ってた。


家族を見限って縁を切って、別の町で生きていても『家族の賞罰』で職を失うって気の毒だな。




ちなみにザーニが寄越した目録には・・・・・・物の見事に、ハンドくんが欲しがってた『武器』が入っていた。




・・・あれは『武器』か?



・・・・・・まあ。『武器』にはなるか。



・・・・・・・・・確かに一部の相手ヨルクとジタンには十分『武器』になってるよね。





『ハリセン』って。







出掛ける前に部屋へ戻る。

もちろんヨーグルトを食べるためだ。


部屋に備え付けられているテーブルに腰掛けるとハンドくんがヨーグルトを出してくれた。


ヨーグルトには『リヒ』で作ったというジャム付き。

あれ?

見た目はライチっぽかったのに『イチゴジャム』みたいに赤い。

ひと匙掬って口に入れる。



「マジで『イチゴジャム』だ」



驚いていたら『こちらの味見もお願いします』と『青紫色のジャム』が出てきた。

『ルシ』という果物から作ったらしい。

・・・ブルーベリージャムと同じ甘酸っぱさだった。



「『ルシ』って見た目がバナナだったよね?それも完熟前の『青バナナ』!」



なにがどーしてこーなった!


他にも果物を貰ってるから楽しみだ。






そういえばまだお金を払ってないから行かなきゃ!

そして美味しい果物のお礼を言わなきゃね〜。



・・・他にもどんな果物があるのかな?



ベッドの上にザーニとグラハムから貰ったポーチから武器をすべて出す。



「あ・・・『日本刀』まである」



武器の説明は目録を見てやってただけで、アイテムボックスから武器を出してはいなかったから知らなかった。



日本刀を鑑定すると『鵡鳳むほう』と表示された。

鸚鵡オウム』と『鳳凰』?

名前に意味があるのかな?



ハンドくんたちは鉄や鋼の『ハリセン』を選んでいる。

ハリセンをヨルクやジタン相手で使い慣れたハンドくんたちが鉄や鋼のハリセンを使うらしい。



「攻撃力が『ハンパない』から、使う時は気をつけてね」




今までみたいに人間相手に使うとDEAD or LOST。

死ぬか『色々と』失うよ?

・・・もちろん『相手』の方が。



貰ったポーチが小型だったから、ウエストに付けても目立たなかった。

そのため今日はコーディガンを着用。


昨日のポンチョを着用した時にも感じたけど、上着を着用すると『清浄化』魔法が発動するから、瘴気による『苦しさ』がまったくない。

まるで清浄化されている『神の館』か『マンション私の部屋』にいる時のようだ。

・・・『神のチカラ』は感じないから、セルヴァンとヨルクの2人が神に魔法を教わったのかな?



『当たりです』

『『神のチカラ』を使えば、神職者に会った時に『色々』と問題になりますから』

『『誰かがかけた魔法』でしたら問題になりません』

『どんなに調査されても『店で販売されていた』ことになりますから』



・・・だから『店』に置いてあったのね。



『店の関係者全員が『証人』です』



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