第108話
夕食のあとに約束していた『
それを見て「いいの!?」と目を輝かせるさくら。
『だからリビングでゴハンを
『
『『ダッちゃん』はもうお布団の中ですよ』
『ダッちゃん』はさくらが寝るときの必須アイテム『抱きまくらのダッちゃん』だ。
さくらが水族館で一目惚れして
ポンッと音がして、さくらが寝間着に『早着替え』した。
珍しく『寝る気マンマン』らしい。
しかし『まだ寝るには早いです』とハンドくんに元の服へ『早着替え』させられてふてくされる。
「さくら~。ゴハンを食べてすぐに寝ると具合が悪くなるぞ」
ヨルクは『胃もたれ』や『胸やけ』のことを言っているのだろう。
「それはヨルクが毎食腹一杯まで食べているからだ」と誰もが思ったが、さくらは「気持ち悪くなるの?」と心配しだす。
そんなさくらの頭を撫でながら「もう少し起きていようかね」と言うドリトスに「起きてたら気持ち悪くならない?」と聞く。
『『この世界の空気』に身体を慣らしていないと『また』苦しくなりますよ』
「やーだー」
ハンドくんに言われたさくらが泣きそうな表情で無意識に上胸・・・気管支のあたりへ両手を持っていき握りしめる。
その仕草で誰もが『胸が苦しくなるのだ』と理解した。
ドリトスとセルヴァンは『呼吸困難を起こして苦しむさくら』を思い出して辛そうな表情でさくらを見る。
向かい側に座るヨルクとヒナリはその様子で以前聞いた『呼吸困難で苦しむさくら』の状態が自分たちの想像以上に酷かったのだと改めて知った。
この最上階全体の空気はこの世界の空気を『清浄化』させている。
そんな空気でも身体を慣らしていないとすぐにこの世界の『瘴気が混じった空気』に対応が出来なくなって苦しむことになる。
そうハンドくんに説明されてヒナリは慌てだす。
しかし、ハンドくんに『
「さくら。ごはんを食べる時は此方に戻って食べましょうね」
「『夜はコッチに戻って寝る』ってのも良いかもな」
ヒナリとヨルクはなんとかして『さくらが苦しまないで楽しく過ごせる方法』を話し合う。
さくらも「こっちで寝るときにまた『
もちろん大切なさくらの『小さなお願い』をセルヴァンが断るハズがなかった。
ハンドくんが出してくれた『ハニーホットミルク』を飲み終えたさくらの目はもう半分閉じだしていた。
「さあ。そろそろ寝ようかね?」
ドリトスに頭を撫でられたさくらは無言で頷いて、そのままコテンとドリトスに凭れる。
苦笑してさくらを抱き上げると『さくらの部屋』へと運んでいく。
先ほどまで過ごしていた部屋の隣に『新しい部屋』があり、何かが床に並べられていた。
これが『お布団』なのだろう。
3つの布団が同じ方向に並べられて、残りが頭を向かい合わせになっている。
そして3つ並んだ真ん中の布団に『ダッちゃん』が置かれていた。
この並びだと、誰もが『さくらの寝顔』を見ることが出来るのだ。
「ダッちゃ~ん」と言いながら抱きまくらを抱きしめた寝間着姿のさくらはそのまま夢の中。
左右にドリトスとヒナリが陣取り、ドリトスの頭側にセルヴァン、向かい合う布団にヨルクが寝ることに。
誰もが布団に潜り込んで、左側を向いて眠るさくらの寝顔を見ていた。
ハンドくんが部屋の電気を消すと
夜中に目を覚ましたさくら。
上半身を起こすと各々の布団にみんなが寝ているのを確認してニコリとする。
でも小首を傾げるとキョロキョロと周りを見回す。
『ハンドくーん』と思念で呼ぶとすぐに身体を持ち上げて部屋からリビングへと連れて行ってくれる。
「あー。やっぱりいたー」
「あら?起きてきちゃったの?」
リビングでは以前のように神々が
「『やっぱり』って事は気付いていたのか?」
「うん。ごはん食べにリビングへ戻ったときに」
あの時さくらがキョロキョロしていたのは『神々がいた痕跡』を
ハンドくんたちはさくらを創造神の足を枕に寝かせる。
『ダッちゃん』をさくらに渡すのもタオルケットを掛けるのも忘れない。
「・・・おい」
「創造神様に『ひざまくら』してもらうの~?良かったわね~」
「『
神々の言葉にさくらはニコニコ。
その様子を見ていた創造神は黙ってさくらの頭を撫でた。
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