第39話







「一応『確認』してあげる。それを命じたのはダレ?」


「『国王からの勅命』だと宰相が」


「しかし国王は優しい方で、そのような命令を下すとは思えません!」


「王妃も王子も心優しい方々です!」


「我ら下々しもじもにもお優しい方々なんです!」


この必死さからいくと、国王は『いい人』で宰相が国王の名を騙った『悪者』なんだろうな。

国王と宰相が手を組んで『仲良く天罰を受けている』この国とは違うんだなー。



では『第二問』!


「『乙女』がいなかったらどうしろと?」


そう言ったら「え?」って言葉を詰まらせた。

だって『いたら』って話は聞いたよ?

でも『いなかったら』って話は聞いてない。


「『いませんでした』っていう証拠はないよね?出来ないよね?だったら『証拠がない』ことをどうやって『証明』するの?」


『子供のお使い』じゃないんだよ?

『任務遂行するまで帰ってくるな』って言われなかった?


さあ!今度は右側から答えてみよう!



根性と覚悟の足りない『密偵ご一行様』は、生命と使命を天秤に掛けることなどせず、使命を丸ごと私たちに差し出した。

ついでに、国内の情報も上乗せで気前よく教えてくれました。

この国の庇護を受けることを条件に。

だからといって『肩書き』がなぜ『さくらのしもべ』になっているんだ?



『貴女に忠誠を誓ったからでしょ』


あ、帰ってきた。

おかえりー。



『いたわよ。ずっと』


『仕方がないでしょ』


『『人間同士』の事は口出し出来ないのよ』



やっぱりね。


『気付いていたの?』


うん。これが『私だけ』なら注意とかしてくれるけど、他の人がいたからね。

結局『国家間の問題』に発展しそうだし。

『神』が片っぽの国にだけに肩入れしたらダメでしょ?



『でも・・・』


『向けられた『悪意』で・・・』



うん。多分ね。

でもしばらくは、ここから離れられないから。

だから部屋の中・・・寝室を『清浄化』してもらえますか?


『『部屋マンション』には戻らないの?』


戻っても・・・こちらへはすぐに来れないでしょ?

それにこれは戻っても回復出来そうにないから。

だったら時間がかかっても、こちらにいた方がいいと思う。

心配かけるけど、『見える』方がいいから。


『分かったわ』


あ。そういえば『白手袋のハンドくん』たち知らない?

部屋を出てから一度も来てないの。

休憩の時も温室に来なかったし。

『ハリセン攻撃』にもいなかったし。

密偵討伐にも参加してなかったし。



『彼らなら寝室を掃除したりしてるわ』


『なぜか分からなかったけど、ちゃんと察してたのね』



さすが『私のお世話係』です。




アグラマニュイ国から遠足かピクニックかハイキングにでも来たつもりの集団は、治療院のお世話を受けてから牢屋を宿泊場所に決めたそうだ。

修学旅行?慰安旅行?に変更となったらしい。

頑なにアグラマニュイ国の宰相一派を信じてる隊長は拘束具付きで牢屋の中が確定してたんだけど、他のコロッと寝返った連中も『私にいわれたこと』を牢屋の中で反省したいと申し出たそうだ。


「真偽も確かめずに動くって・・・やっぱり『首から上』は要らないんじゃない?考えない『使わない』んだからさー」


「人間でいる必要もないんじゃない?右に顔を向けて引っ張れば考えずにいうことを聞くんでしょ?その先で『解体』されて『食肉』にされるのも気付かずに」


私に指摘されたことで『反省タイム』がほしいそうだ。


「良いんじゃない?」


ジタンからどうするか聞かれたからそう答えた。

「誰かに指示されたわけではなく、自分で考えたんでしょ?『一歩前進』じゃん」と言ったらドリトスとセルヴァンも賛成してくれた。


やっぱりというか・・・

彼らは私を『乙女』と勘違いしていたらしい。

そのため3人が『『乙女』の護衛をしている』と思っていたようだ。


「私のこと聞いてないの?」と言ったらアグラマニュイ国では『乙女の存在を隠すための偽り』だと勘違いしてるらしい。

それで『隠すなら奪おう』となって彼らが送られてきた。

「・・・ってことは、先日の『天罰騒動』の詳細を知らない?」と聞いたら、ウワサ程度しか知らないらしい。

そのウワサも「エルフが無謀にも上位の神にケンカを売ったらしい」だって。

・・・間違ってはないな。


丁度王都に入った所だったので、治療師の治療を受けられたそうだ。

神様たちの話では、放っといても3時間ガマンすれば、一応は回復出来てたらしいけどね。


ジタンには『連中を国に戻す時は『国境まで護衛』した方がいい』と伝えといた。

国内で『解放』した後で『誰か』に殺されたら『責任問題』で『国家間問題』になるよ、って。

ジタンは固い表情で頷いていた。



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