夏の花火はマインスイーパー

「どかーん」


 モニターの向こうで、爆弾たちが弾ける。

 とげの生えた栗のようなウニのような小さい爆弾。

 僕は画面上に出てきた「もう一度プレイする」を押して、ゲームを再開する。


 夏だ。

 特に何もない夏だ。

 田舎に帰省したものの、墓参りなど終えると特にやることもなく、パソコンを開いてマインスイーパーをプレイしている。

 実家はほぼ山にあり、Wi-Fiなんて通っていない。

 コンビニに行ってもいいが、その為だけに外出するには少し距離がありすぎる。しかも暑いし気力もない。


 そんなこんなで、部屋でクーラーにあたりながら、実家にあったパソコンを使っているのだ。

 ちなみにネットは電話回線なので、不用意にネットに繋げない。どうせ電話なんて滅多にかかってなんか来ないんだけど。


「どかーん、と……」


 誤爆。

 何回もやっていると慣れてくると同時に、脳みそが湯だってクリックする指がいい加減になっているような気がする。


 踏み当てた爆弾が周りの爆弾を巻き込んで、大きな爆発を生む。

 そんなモニター越しの光景を見ながら、そういえば花火も見に行ってないなと思い出す。


「行く気力もないけどな……」


 今年の夏はマインスイーパーの花火だ。

 無機質な灰色が弾けて、汚ねぇ花火だ、などと何処ぞのキャラクターのように思う。

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