第85話 選択の枝

「ボクが、エリー姫を救う?どうやって?」


「それはわからないんだよね」

ケロッと笑うクルクル。

「ねえリーフ、ボクはず~っと長い間この世界を見てきたんだ。最近色々思い出してきたんだけどさ、結局すべては選択の枝で出来ているんだよ。

未来に続く枝は、ほら、キミから出ている。」


「やめてよ、そんなの、すごいプレッシャーじゃない・・・」

焦るリーフ。そんなこと言われても困る。エリー姫を救う手段も分からない。


「じゃあボクは、もう少しこの城を調べてくるね、ベイドさん、リーフをヨロシク!」

クルクルは言うだけ言って部屋を出て行ってしまった。


残されたベイドとリーフ。


「ベイドさん、どうしよう・・・」

リーフがベイドに情けない視線を送る。まだ男の子リーフに慣れていないベイドはドギマギしていた。

「う・うむ。エリー姫を救うとは、また難しいことだな・・・。22年の間、エリー様はご家族にも、そしてブルー王にも完全には心を開くことがなかったお方。会ったばかりのリーフ殿がどうこう出来る問題ではないだろう・・・と・・・。」


「うう、そうかぁ・・・」

テーブルに突っ伏すリーフ。

と、おもむろにベイドが立ち上がり、リーフの肩を掴んで自分の方に向かせた。


「なに?どうしたのベイドさん!」

「お許しを」


ベイドはリーフにキスをした。

「!!!!!」


激しい、情熱的なキスだった。

リーフが何もしゃべれないくらい、長く深い。

抵抗しようにも、たくましい体に抱きしめられて身動きもできない。


ベイドはリーフをそのまま抱えて、ベッドに運んだ。

キスしたまま寝かせて、まだ男の子の体を大きな手で触る。


さっき来たばかりの男の子の服をはぎ取り、ベッドの下に投げた。


ベイドはリーフの口を手でふさいで、唇を離しても声が出ないようにする。

「ん~~~~~~!!」

余った手と口でベイドはリーフの全身をさぐった。


随分長い間攻められた気がする。ベイドが急にリーフの上から飛びのいた。

リーフは泣かないと決めていたので涙は出ないように頑張ったが、全身がくがく震えていた。


「申し訳ない、リーフ殿。さあ、これをお掛けなさい。」

ベイドはリーフにシーツを寄越す。

それで包んだ体は、女の子に戻っていた。


「どうして・・・こんなことしたの・・・?」


「じつは、あの高い所にある窓から。エリー姫の手の者が覗いていたのです。たぶん、私が本当に男色家か確かめに来たのでしょう。それで、リーフ殿を・・・。」


「そ、そうだったの・・・。じゃあ、これで当分ボクたちは疑われないね。」

何とか笑顔を作る。

ベイドに触れられたところがまだ熱い。


ベイドは、女の子に戻ったリーフを見て、押さえていた赤い欠片の欲望が湧き上がってくるのを感じていた。

このままもう一度、リーフの体を味わって、思いを遂げてしまいたい。


リーフにまた、キスをした。

「まだ、誰か見てるの?」

「はい・・・」嘘をつく。

リーフはキスを受けながらも、女の子に戻った体を見られないように必死にシーツで隠す。

ベイドはそのシーツ越しに大きな胸を弄ぶ。

「ベイドさん、あまり・・その・・胸を触ると、気付かれちゃうよ・・・!」


「ベイドさん・・?」


ベイドはリーフの足を開き、体を割り込ませる。


「やだっ」


何かを感じて逃げようとするリーフ。とっさにベイドの顔を平手打ちしてしまった。


ハッと正気に返るベイド。


「・・・・私も少し、頭を冷やしてくる・・・・」

そう言って部屋を出て行く。

また、一人残されたリーフ。体中に残された感触が消えない。


「赤のドラゴンを復活させるには、やっぱりこういう方法しかないのかなぁ・・・。」

このこといい、エリー姫のことといい、つい最近までダメダメな高校生だってリーフには果てしなく重い課題だった。

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