第7話 初めての肉感



大ちゃんは


何が起こったのか


理解できなかった。


やわらかい肉が、自分の唇に重なっている。


と言いますか、大ちゃんは初めてだった、キスが。




アーサーは角度を変えて2度、3度、キスをしてきた。


何とも言えない気持ち悪さ・・・。大ちゃんは必死に抵抗するが、体も大きく力も強いアーサーはビクともしない。



「甘い香りがするなぁ・・・」


アーサーは大ちゃんの首筋から胸元に鼻を当てて匂いを嗅いだ。きっとクッキーの香りだろう。


「もうっほんとにやめてくださいっ、離れて・・・っ」


抵抗する大ちゃんの唇をもう一度ふさぎ、アーサーは上に乗ったまま大ちゃんの胸をまた掴んだ。



恐怖と嫌な予感が大ちゃんの脳みそによぎる。


誰もいない森の中、女の上に男が乗っていまして、男はやる気がマンマンでして、女は抵抗できませんで・・・。


やばい。やばすぎる。


奥手な大ちゃんでもだいたい想像できる。


大ちゃんも一応男の子なので、男側としての空想は広げたことはあるが、女側のことは考えたこともなかった。


やはり無理矢理というのは大変良くない!

お互い合意の上で致したい!


そんなことを考えているうちに、大ちゃんのジャージの上着は脱がされようとしていた・・・・!


「おかしな服だな・・・」


セクシーボイスでアーサーがささやく。

ジャージの下のTシャツに触れた。ブラとかつけていない胸に、アーサーの手が這う。


「ぎゃ~~~~」


さらに生々しくなった感触に驚き、大ちゃんはそれはもう渾身の力を込めてアーサーを突き飛ばした。


今回は成功して、何とかアーサーを自分の上から降ろすことができた。


そのすきに人生初というぐらいの素早い動きで走り出す大ちゃん。



しかし悲しいかな、アッとも言わないうちに捕まり、今度は後ろから抱きしめられて胸を掴まれた。


「やめてください!これじゃぁゴーカンマですよ!アーサー王子は勇者じゃないんですか~~?!」


「大丈夫、悪いようにはしないから・・・。それに・・女の子はみんな俺にこうして欲しがってるよ?」


お前はエロゲかっと大ちゃんは心の中で突っ込みを入れつつ、大きく頭を振った。


「ボクは嫌!嫌なんです~~~~!」


「嫌と言われるとますます燃える」


立ったまま、アーサーは木に大ちゃんを押しつけた。最初より激しいキスをする。


くらくらする頭の中、大ちゃんは一筋の光明を見出した。


アーサーの股がノーガード&自分の足がフリーということである。


男ならばわかる!一撃必殺!



大ちゃんは思いっきり


アーサーの股を


蹴っ飛ばした!!!









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る