異世界の出口は単純にあの場所。ワクチンを全て手に入れて早くここを出よう。
1
ゾンビが現れた……!
ゾンビは大体二十体はいる。
「聖星川!! ゾンビが来た!」
「分かってるって!」
僕は扉を閉め押さえた。
ゾンビの大群は「アァ……ァ」と絞り出すように声を出し、扉をドンドン叩いてきた。
亀空も前の入り口の扉を押さえていたが、力で負けてしまい、ゾンビの侵入を許してしまった。
亀空は銃に弾を込め、撃った。
僕も扉を押さえるのをやめ、ショットガンに針を込めた。
そして侵入してきた一体のゾンビの右目を撃った。
「アァ……」
ゾンビは怯むことなく向かってきた。
僕はしょうがなく、ショットガンでゾンビの顔面を叩いた。
そして、腹を押し蹴りした。
ゾンビは後ろにのけ反り、倒れた。
僕は倒れたゾンビの頭を踏み潰した。
――バンッッ!!
「お前ら大丈夫か!!」
『廊下』から床爪たちもやって来た。
床爪たちの応戦もあって、ゾンビの大群は全滅した。
2
「本当かよ……」
虎縞山は仮眠中だが、それ以外の皆は床爪たちの言葉に驚きを隠せなかった。
なんと、三人はこの異世界の出口を見つけたそうだ。
出口の場所は――
「じゃあ、ワクチンを全て手にいれたら『玄関』に向かえば良いって事か」
また、三人は注射器を見つける事は出来なかったが、とても有力な物を手にいれたそうだ。
――ワクチンを作るための材料がかかれた小さな紙だ。
僕らはその紙を『レシピ』と呼んだ。
つまり、僕らは『レシピ』を持って異世界から出て、元の世界で医者に頼んでワクチンを作れば、皆を救えるという事だ。
ところで話題が挙がった。
「ってかさ。何で急にあんなにゾンビ来たん??」
亀空は言った。
「――それについては僕が教えよう」
『三年四組』に赤いリストバンドをつけた一人の男が入ってきた。
僕らは銃やナイフをその男に向けた。
「いやいや、怖い怖い。僕は君たちが困ってるから教えに来たん。まぁ教えることといえば、……君の友達の枠井って子、死んじゃってるよ」
「……は!?」
「マジで。ウロコ病に感染し、全身が鱗に包まれて死ぬとゾンビを寄せ付けちゃうんだよね。〈赤チーム〉も、一人ウロコ病に感染しただけでゾンビが寄ってきて全滅しかけてるから。僕はそこを裏切って逃げたんだけどね。
ちなみに、枠井もあともうちょいでゾンビになっちゃう。多分だけど、枠井は1度蔓みたいなの出して暴走したでしょ。ゾンビになる前に体が反応を起こして、体から蔓を出すっていう症状があるんだよ」
と、〈赤チーム〉の男から情報を聞いた。
「じゃあ僕は『玄関』から元の世界に帰るよ。じゃあな」
男は『三年四組』から出た。
「……僕のせいで枠井が」
ソダスケは泣きだした。
「……出ようぜ。そして枠井の事は運営に訴えればいい。まずは一人でも多く助かることだ」
黒名はそう言った。
「そうだな。逃げよう――おい、虎縞山、起きろ」
手桐は虎縞山の顔を軽く叩いた。
しかし一向に起きない。
「ったく」
手桐は虎縞山をおぶった。
「『レシピ』は誰か持ってるな」
床爪が言うと、
「私が持ってまーす」
と、上故は言った。
「できる限り武装をしよう。上故、湯川、亀空は銃を持て。聖星川はショットガンを持つんだ」
床爪は言った。
「――行こう」
3
ゾンビがかかって来ても、女子たちが問答無用で撃ち殺した。
やがて玄関の前に到着した。
「ってか。なんだよ
手桐は言った。
――突如
手桐は大量の血を流し倒れた。
「……!」
みんなの視線が集まった。
虎縞山は既に目覚めていたが、両腕には蔓が生えていた。
「どうやら、僕は枠井が暴走したときウロコウィルスに感染しちゃったらしい」
虎縞山はそう言うと蔓を伸ばし黒名の首を刺した。
黒名は真っ赤な血を出し、白目を剥き倒れた。
「虎縞山、ごめん!!!」
亀空は銃で虎縞山を撃ったが、怯むことなく蔓で亀空の首を絞め殺した。
――逃げるしかない。
そう思ってしまった。
「聖星川!! 後で向かうから! 私たちは虎縞山を食い止める!」
上故はそう言って『レシピ』を渡してきた。
僕は受け取った。
「元の世界のクラスメートを救ってね。絶対私は会いに行くから。――大好きだよ」
僕はその言葉を聞くと振り返ること無く、元の世界へ走った。
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