第38話 いびつな宴が始まる
「お待たせ。準備OKだぜ」
大型のビデオカメラを担いだ金谷太が部屋に入ってきた。彼は上半身は裸だったが、下はジーンズを身に着けていた。
「もういいのか?」
「ああ。アンタの後、川上小夜に抜かずの三発を決めて来たぜ。あれはメチャイイ女だ。透き通るような白い肌でスタイルは抜群。胸も大きいしな。よく参加したなあ」
「借金の相談に乗ってやったんだ。セックスパーティーの参加が条件でね。相手は選べるから安心しろと」
金谷太と霧口氷河がニヤニヤしながら話している。
「嘘つきだなあ。この極悪人め」
「かまわねえさ。今はお目当ての沖原とよろしくやってんの?」
「いや、橋本と大井と相島の三人に犯されてるぜ。口と前と後ろに三本突っ込まれてアヘってる」
「沖原は?」
「あぶれた女衆にもみくちゃにされてる。四人にかわるがわる絞られてりゃ世話ないわ。ありゃ気の毒だな」
さっき聞こえていたのが川上さんがレイプまがいに犯されていた時の悲鳴なのか。今回の参加者の中では一番きれいな人だと思った。そして沖原って人が多分一番のイケメンだ。つまり、一番のイケメンと美女に獣が群がってるって状況なんだ。
「やるのか?」
「もちろんだ」
「処女のレイプ。久々だな」
「ああ。興奮するぜ」
やっぱり藍を無理やり犯す気なんだ。しかし、俺は二人の先輩女子に絡まれて身動きすらできない。
「佳澄と奈々恵は緋色から離れろ」
残念そうに二人の先輩女子が俺から離れた。
「緋色に説明しておくぞ。君に痛い事はしない。佳澄と奈々恵がたっぷり面倒をみるから安心しろ」
「俺の事はどうでもいい。早く藍と美海さんを開放しろ!」
「威勢がいいねえ。でもダメだ」
冷たく言い放つ江向吹雪だ。
「まあ、緋色には少し我慢してもらう。今からそのおデブちゃんを氷河がレイプする。この男はいわゆるレイパーでな。無理やりじゃないと興奮しない変質者だ」
レイパーだと? レイプ常習者の事か?
「まあ、そんなこんなでセックスパーティーを開いてはレイプ的なシチュエーションを演出して来たんだが、この変態はそれじゃあ満足できなくなった。それで、時々は知らない女を引っ張り込んでレイプしてるって事さ」
「それは犯罪だ! 許されない行為だぞ」
俺の糾弾を平然と無視する江向吹雪が話し続ける。
「和姦と言う事にすれば単なる恋愛にすぎんよ。ま、強姦だと言い張る場合は撮影した映像がどこかに流れるからなあ。ふふ。それにな、薬使って気持ち良くしてやってるから癖になる奴の方が多い」
薬を使う?
まさか違法薬物使ってセックスしてるのか?
「心配するな。警察はグルだから絶対にバレない。男も女も、性の快感に溺れたいだけ溺れりゃいいんだ」
「だからといって、やって良い事と悪い事はあるはずだ」
「強情だねえ。でも、お前の意見は却下だ。先ずは氷河がおデブちゃんを犯す。さっきも言ったがこの男は本気でレイプする。女が痛がって泣き叫んだ方が興奮する変質者なんだ。緋色はその様を黙って見ていろ。自分の彼女がレイプされて悔しいだろうが、大概の男はその様子を見ているだけで異常に興奮するんだ」
マジでそんな事をするっていうのか?
それは鬼畜ってやつだろ。
「その後、傷心のおデブちゃんを藤次郎が慰めるんだ。『痛かっただろ? もう大丈夫だ』とか『安心していいよ。君の事は僕が守るから』とかな。臭くて歯の浮くようなセリフを並べて口説くんだ。緋色の目の前で」
「ネタバレはやめてくださいよ。恥ずかしいな」
「構うもんか。あははは」
藤次郎も仲間だったのか。
「この藤次郎は巨乳趣味でな。このおデブちゃんの爆乳を揉んでしゃぶって噛みついて、まあ、色々堪能したいんだとよ。そこにいる佳澄や奈々恵のFカップじゃあ物足りないらしい」
「吹雪さん、バラさないでくださいよ」
「別にいいんじゃないの? 巨乳趣味のおっぱい星人」
「そう言う事です。緋色君には悪いけど、藍ちゃんの爆乳は僕が堪能させていただきます」
目の前が真っ暗になった。
もう俺の力じゃあどうしようもない。
「何? 緋色は青い顔して絶望してんの」
「当たり前だ。俺の彼女がレイプされそうなんだ。助けられないんだ。お先真っ暗じゃないか」
「心配するなよ」
江向吹雪がにやりと笑う。
「自分の彼女が目の前で『あはん。うふん』と悶える様は異常に興奮するって言っただろ? おデブちゃんが他の男に抱かれて性の快感に溺れている時、お前のアソコも痛い位に勃起して収まらなくなってるだろう。それを佳澄と奈々恵が念入りに愛撫する。二人にはピルを飲ませているから避妊しなくてもいい。口でもあそこでも好きな場所に、何回でも射精していい。こりゃ羨ましい位に気持がちいいぞ」
もうどうしようもないのか。
このままいいようにやられてしまうのか。
俺が甚だしい絶望感に包まれているその時、素っ裸の清十郎が江向吹雪の肩に手をかけた。
「おい、吹雪。僕の事を忘れてるだろ?」
「すまん。お前はそこの男の娘を好きなだけ犯していいぞ」
「僕は緋色君を抱きたいんだけど」
「我慢しろ。今日は佳澄と奈々恵に花を持たせる」
吹雪の沙汰にシュンとする清十郎だった。
そうか。ちょっと状況が変われば、俺が清十郎に犯されたかもしれないんだ。何もされていないのに尻の穴がズキンと痛んだ。
「さあ始めようか。先ずは薬嗅がせて起こそう」
霧口氷河が瓶入りの試薬をガーゼに含ませてから藍の鼻先にあてた。藍は眉間にシワを寄せつつ首を振る。そして目を開いた。
「何の匂い? すごく臭いわ」
そして上半身を起こして回りを見渡す。
「え? どうなってるの? 何でみんな裸なの? そこで寝てるのは緋色? 起きてる?」
状況がつかめず混乱しているようだ。今から自分が何をされるのかわかってないようで、ニコニコ笑っている。
その時、再び俺に覆いかぶさった越ケ浜佳澄が俺の唇を塞いだ。そして俺の口の中に舌を差し込んで来たのだ。
「え? 何やってんの。緋色は私の彼氏なの。そこの人、勝手にキスしないで」
焦ったのだろう。藍はベッドから降りようとして足を滑らせ、床に敷かれた布団の上に寝かされている美海さんの上に倒れてしまった。すぐに身を起こして美海さんの顔を見つめる。
「ごめんなさい。美海さん大丈夫? え? 何で縛られているの? え? 緋色も? どうなってるの? えええ?」
横目でしか見えないが藍も状況を何となく把握したようだ。彼女は美海さんを抱きしめつつ悲鳴を上げた。
「キャー! 誰か助けてー!」
耳をつんざくような悲鳴だ。体格が良いせいか、彼女の悲鳴も重量級だった。
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