冴えない誕生日の迎えかた

冴えないオタク

第1話

時系列は13巻終了後、加藤恵の誕生日です。


今日は暑くもなく寒くもない、実に私の誕生日らしい日だ。

その誕生日の日に何をしているかというと、澤村家で行うことになった誕生日会兼女子会に、向かっているのだ。誕生日会とは言っても、メンバーが私を含めたあの5人なので、エリリと一緒に準備をすることになった。ちなみに倫也くんとはこの後にデートに行くことになっている。去年はすっぽかされたからなぁ。

そうこう考えているうちに買い物も終わり、エリリの家のドアの前に来た。

荷物持ちながらは押しづらいなーと思いながら、インターホンを鳴らす。

「はーい」

「エリリ、買い物して来たよ」

「今開けるね」

ドンドンと階段を駆け下りる音がする。

エリリはもう超人気クリエイターとして忙しい身、ちょくちょく連絡を取っていたとはいえ、直接会うのは少し久しぶりだった。倫也くんのこともあるし、やっぱり会いづらいなぁ。そんな心配をよそに扉は開け放たれる。

「久しぶりっ、恵」

「う、うん 久しぶり」

「その格好は?」まだいつものジャージを着てるんだエリリ、懐かしくなるなぁ皆んなでゲームを作りをした日々が。

「ちょっと徹夜しちゃってねー アハハ......」

「料理とか準備が終わったら着替えよう!私が久しぶりに選ぶからさ」


「あのさ、エリリ」

「なに?恵」

「そんな笑顔で見られても困るんだけど、料理下手過ぎない?」

「ホ、ホラ 手を怪我したら困るじゃない?それでしたことなかったのよ。悪い?」

「それなら今も仕事抱えてて危ないし、私一人でも多分出来るからいいよ。人には向き不向きってあるし。」

「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない!し、親友の誕生日だから少しくらい、作ってみたかったのよ!」

ちょっと涙が出てしまう。もちろん仲直りをしたとはいえ、気まづくなってしまったと思っていたのは私だけだったみたいだ。

「ち、ちょっと何泣いてるのよ、別に怒ったんじゃなくて、その......。」

「ううん、こっちこそごめんね。そこまで思ってくれてたなんて、思ってなくて。

私が教えるから一緒に作ろう!」


「なんか懐かしいね、こうやって一緒に何か作ってると。昔エリリにスクリプトについて、教えてもらった時のこととか思い出しちゃった。」

「あったわねーそんなこと。あのあとお互い下の名前で呼び会うようになったのよね。」

「今、逆に料理を教えてるって考えるとなんだか感慨深いなぁ」

「ち、ちょっと時間マズくない!遅れたら霞ヶ丘詩羽が何言い出すかわからないわ。さっさっと教えなさいよ!」

「はいはい、じゃあ、こうやってこれを切って......」


インターホンがなった。

「エリリ出て来て、手が離せないから。」

「うん、わかった恵」

ピンポンピンポンピンポン

うわぁ、絶対霞ヶ丘先輩だぁ

「加藤ちゃん、お誕生日おめでとーう!」

「恵さんおめでとうございます。」

「加藤さん、また一つ歳をとったわね、おめでとう。」

「センパイもっと素直に祝おうよっ」

そう言って、氷堂さんが少し絡む。あの2人いつの間にか仲良くなってたなぁ。

「アハハ......皆んなありがとう。そろそろ準備出来るから待ってて」

「フンっ霞ヶ丘詩羽、今日は私も準備したのよ!感謝しなさい。」

そう言って、精一杯胸を張るエリリ

「あなたどうせ、加藤さんにほとんど教えてもらったのでしょう?」

「あんた、自分は準備してないのに棚に上げて恥ずかしくないのかしらねっ」

「まぁー、エリリも頑張ってましたよ〜 凄く」

「そうだっ恵、着替えて来ましょう。選んでくれるんでしょ。」

そう言ってエリリの部屋に連れて行かれた。

「でも、恵さんと澤村先輩が楽しそうで良かったですね、霞ヶ丘先輩。確か先輩が今回のをやろうって言い出したんですよね?」

「まぁっ、元気のなさそうな顔で一緒に仕事されても困るし、ちょっとはね。」恥ずかしそうに頰を赤らめてそう言う。

「素直じゃないんだから〜全くセンパイは。そんなんだから倫也を取られちゃうんだよ。」

この部屋の温度が下がる。

「私はまだ諦めてないのよ。氷堂さん、その為の今回の誕生日会でもあるのだから「「えっ、えー」」


「ハイっ、じゃあ恵の誕生日を祝してカンパーイ」

「「カンパーイ」」

グラスの心地良い音がカンッとなるのを合図に、恵の誕生日会兼女子会が始まった。

「あら、以外と美味しく出来ているじゃない、澤村さん。」

「それは私が作ったんですけど......エリリが作ったのは、これとか、これとかです。」

「うん、これも美味しいわ「やっと、私の実力を認めたようね。霞ヶ丘詩羽!」やっぱり教え方が上手いと、いいものが出来るのよ。私が倫理くんと作ったシナリオのように。」

「かっかっかっ霞ヶ丘詩羽〜!」

「ねぇ〜、そろそろプレゼント渡さない?」

「そ、そうしましょ先輩方」

「えーっと誰から渡します?私がいいですかね?」

「うん、じゃあお願い出海ちゃん」

「前のお誕生日の時は渡せなかったんですけど、今回は本当のお誕生日イラストですよ〜」

そう言って手渡されたイラストはここ最近でも最近のクオリティのものだった。この娘はそれを誕生日としてくれたのかと思うと、涙ぐんで来た。と、同時に現実に引き戻される。

「ありがとう出海ちゃん。でも、ゲームの方大丈夫?」

「涙ぐむほどなんて、感激です。では、次いきましょう」

「あっ流した。」「流したわね」

「じゃあー次は私かな。ハイっこれ、ライブ来たかったけど、来れなかったらしいじゃん。生には劣るけど観客の声も入ってていいものだよ。あと、チケット今度は来てよね!」

「ありがとう氷堂さん、これ聴いて絶対ライブ行くね!」

「じゃあ次は私かしら?私が渡すのはこれよ」

ん?SDカードどういうことだろう?

「遊び程度だけど、私達で作ったゲームの追加シナリオを書いて来たの、見てみて。」

pcに繋いで見てみると。

「これって18禁じゃないですか!な、なんで。」

あなたもう19歳だし問題ないでしょう?」

「問題大アリですよねなんでこんなこと」

しかも、誠司と巡璃なんて......

「倫理くんを意識したでしょう?これが私の狙いよ。どうせあなた達今日デートするのでしょう?そこであなた恥ずかしがって失敗しなさい!」

「「う、うわぁー」」

「霞ヶ丘詩羽、あんた最低ね」

「クオリティだけは、信用していいわ。」

「じゃあ、最後に私からっ。」

「うん」

ハイっと、渡されたのは私とエリリ?

「これは私達の友情の証。大事にしてよね。」

私は嬉しさと恥ずかしさでエリリに抱きつく。

「ありがとう、エリリ。一生大事にする」

「もう、離さないんだから。」


そして楽しかった時間も終わりが来る。

「そろそろ時間かな?片付けも済んだし」

「え〜もっとこの「冴えないすごろくの遊びかた」しましょうよ〜」

「今日は恵、デートだから仕方ないじゃない。ちょっと送ってくるから、遊んでなさい。」

「じゃあ行こっか」そう言ってエリリ手を握って来た。もちろん私も握り返す。

「ホントにいいのエリリ、私を送り出して。」

「うん、いいの......倫也のこと、諦めたわけじゃないけど。私はあなたの幸せを祝いたかったし、倫也にも祝ってもらいたい。だからっ楽しんで来てっ。」

エリリが泣いているのはきっと、妬みなんかじゃなく、私を思ってだろう。

だから笑顔で別れよう。

「うんっ、楽しんで来るね!」

空はもう暗くなり星が少し光っていた。



初めて書いたssなので、表現が下手だったり、面白くなかったりしたと思いますが、ここまで読んで下さりありがとうございました。

こちらにアカウントを作ったので、pixivに昔上げたものを持ってきました。
























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