第24話
「行くぞ!!」
俺達はアンシェルに斬りかかった。
「勇者の光!」
レインは勇者特有のスキルを発動する。
すると、レインの拳が光る。
「ぐっ……」
アンシェルはその光を嫌がるように目を背ける。
「光剣シャインソード!!」
目を背けたアンシェルに肩にレインの光り輝く剣が傷をつける。
「ぐおっ!」
アンシェルは光属性の攻撃を受けて少しよろける。
「付与魔法エンチャント:ウインド、エアリアルソード!!」
俺は剣に風を纏わせて切れ味と斬撃のスピードを上げる。
俺の剣も少しだが、アンシェルに傷をつける。
「「おらぁッ!!」」
そしてさらに、俺とレインは一緒にアンシェルを斬る。
「がはっ!」
アンシェルは吹き飛び、迷宮の壁に打ち付けられる。
「よし、この調子なら時間はかかるだろうが勝てるぞ!」
「勝てる……? ふっ、笑わせてくれる……っ!?」
アンシェルは瓦礫から出てくるが自分の腹部から血が出ていることに気づく。
「血が、血が出てるぅ!! 私のこの体にぃぃ!!」
アンシェルは自分の血を見て完全に我を失っている。
こいつ、あまりの強さに怪我することなんて無かったんだろうな。
「おい、あいつの魔力量がどんどん多くなってきてるぞ!」
「おいおいマジかよ……」
あれか? よくある怪我したらキレて強くなるパターンのやつか?
「うおおお!! 許さん、許さんぞぉぉ!!」
アンシェルが叫んだ瞬間、アンシェルが瓦礫の中から消えた。
「死ねぇっ!!」
アンシェルは俺達の後ろに移動しており、両手を前に突き出している。
まさか、ギャ○ック砲か!?
「はぁっ!」
アンシェルの魔法が唸りを上げて迫ってくる。
その魔法は紫色の光を帯びて迷宮の床を削っている。
「ちっ、間に合えっ!!」
俺はアイギスの盾を発動しようとする。
しかし、魔法はもう目の前まで迫っている。
「くっ!」
俺はスキルを発動するのを諦め、持っている盾を目の前に持ってくる。
ドォン!!
盾に強い衝撃が走る。
「ぐぅっ!!」
重すぎるっ!
くそっ、耐えきれねぇ!!
魔法に押され、俺はジリジリと壁に追い詰められていく。
「聖なる光!!」
横からレインの声が聞こえたと思えば視界が真っ白に染まる。
すると、俺の盾を押していた強い力が無くなり、勢い余って俺は前に転けてしまう。
「大丈夫か!? アル!」
「ああ、何とか盾で防いだからな。お前があの魔法を消してくれたのか?」
「そうだ。発動が遅れちまってすまないな」
「いいんだ、俺は守護神の申し子だぜ? タフなんだよ」
「そうだな。でもあいつ、明らかにパワーアップしたな……」
「それに攻撃的にもなってるし、かなり気をつけないとな」
「俺の魔法も防ぐか……だが、お前達は生かしておけん。死ねぇ!!」
一人称も私、から俺に変わってるし素が出てるな……
「こっちもやられっぱなしじゃいられねぇ!!」
「こんな所じゃ死ねねぇ!!」
アンシェルは再び消える。
俺は魔力感知を全力で発動して、アンシェルの禍々しい魔力を探す。
いたっ! 頭上!
俺は上を向くと片手を変化させて長く、鋭利な爪を振り上げている。
「レイン、上だ!」
「分かってる、よっ!!」
レインは光の斬撃をアンシェルに放つ。
アンシェルはその斬撃を爪を振るって闇の波動を発生させ、相殺する。
「光と闇は表裏一体ってな!」
「付与魔法エンチャント:ブレイズ! 焔剣ブレイズソード!」
「ホーリーソード!!」
俺は火を纏った剣を、レインは邪悪な者に特化した剣を放つ。
「なんだとっ!?」
アンシェルは予想外の攻撃を受けて驚いている。
「へっ、最初のは目くらましだぜ!」
「小癪なぁ!!」
アンシェルはすぐに体勢を立て直し、今度は両腕を変化させて消える。
「「縮地!!」」
俺達はアンシェルが消えることに対抗するために縮地でアンシェルの死角に移動する。
「なに!? くっ、おおっ!!」
アンシェルは死角に回られて一瞬驚くが、すぐに体を回転させ、爪を振るう。
俺はそれを剣で受け止めようとするが、そのまま投げられる。
しかし、レインはギリギリでそれを避けていた。
「くらえっ!」
レインが爪を振るって隙が出来ているアンシェルに斬りかかる。
「うおおお!」
しかし、アンシェルは衝撃波を発生させ、レインを吹き飛ばす。
「やっぱり一筋縄ではいかないか……」
「ちょこまかと小賢しいわ!!」
アンシェルが凄まじい勢いで邪悪な魔力を解放させる。
するとアンシェルを中心とした魔力の塊が生まれる。
「何だ……あれ……」
それは蚕の繭のようにも見える。
「この階層から、いやこの迷宮全てから魔力が集まってきているみたいだ……」
レインが言う通り、その繭に迷宮中から魔力が集まっている。
そしてその魔力を吸収してアンシェルの繭は大きく、高密度になっていく。
「くそ、見てることしか出来ないのかよ……」
「何が起こるって言うんだ……」
俺達は魔力が集まるその様子をただ見ていることしか出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます